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印刷業界における二色刷りとは?

印刷業界における「二色刷り」(ふりがな:にしょくずり、英:Two-Color Printing、仏:Impression Bicolore)とは、2つのインク色を用いて印刷する技術です。この方法は、通常のフルカラー印刷よりもコストを抑えつつ、カラーのアクセントを加えることができるため、簡素さとデザイン性を兼ね備えた印刷物の制作に適しています。特に、パンフレット、ポスター、書籍の表紙などで、鮮明な印象を与えるために使用されます。


二色刷りの概要

「二色刷り」は、2つの異なる色インクを使って印刷物を仕上げる手法で、商業印刷の世界で特に効果的な方法とされています。この印刷方式は、限られた色数でありながら、視覚的にインパクトのある仕上がりを提供できるため、特にビジュアルの要素を強調したい場合に適しています。

二色刷りでは、通常、黒ともう1色のカラーを組み合わせるか、2色の異なるカラーを選択することで、テキストやデザインの一部を強調し、見る人に鮮明な印象を与えることができます。また、フルカラー印刷に比べてコストが低く済むため、コスト効率が求められる印刷物や、シンプルなデザインのパンフレット、名刺などにも多用されます。

二色刷りのプロセスと方法

二色刷りの印刷プロセスは、通常のオフセット印刷機を使い、2つのインクローラーでそれぞれの色を順に印刷する方式です。まず、1色目のインクを紙に印刷し、乾燥後に2色目を重ねることで完成します。この過程では、2色の重なりによって異なる色合いや陰影を作り出すことも可能です。

また、デジタル印刷でも二色刷りが可能で、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色のうち2色のみを選び、デジタル処理でカラー効果を生み出す方法も一般的です。この方法により、印刷準備が迅速で柔軟な対応が可能となり、少部数の印刷物にも対応できます。

さらに、デザイン段階では二色刷りに適したカラーを慎重に選定することが重要です。例えば、企業のロゴカラーや、シンプルでありながら引き立つ色を選ぶことで、より効果的なデザインが実現します。最近では、カラー選定に関しても専用のデザインソフトを使用し、2色で最大限のビジュアル効果を出す工夫がされています。

二色刷りの歴史と進化

二色刷りの技術は、印刷技術の発展とともに歴史を刻んできました。特に日本では、江戸時代の「錦絵」と呼ばれる浮世絵で、限られた色数で精巧な作品が作られており、これが二色刷りや多色刷りの原点とも言えます。当時は木版を使用した多色刷りが主流で、限られた色数で印象的な絵画を制作する技術が磨かれました。

20世紀に入り、オフセット印刷機の登場により、二色刷りのプロセスはさらに効率化されました。特に、ポスターや広告、新聞の見出しなどで二色刷りが利用されるようになり、シンプルかつ強い印象を与える手法として定着しました。カラフルな表現が可能な現代においても、二色刷りはその独特のデザイン性から、デザイナーに人気のある印刷方法となっています。

現在の二色刷りの重要性と使用例

現在の印刷業界では、二色刷りはデザイン性とコスト効率を兼ね備えた手法として再評価されています。例えば、企業のブランドブックやシンプルなデザインが求められるカタログ、エコロジーを重視した印刷物など、シンプルながらもメッセージ性の強い仕上がりが求められるシーンで多用されています。

特に、環境配慮の観点から、インク使用量を抑えた二色刷りが注目され、エコロジー志向の企業や製品ブランディングにおいても効果的です。二色の組み合わせで奥行き感や陰影を生み出すことで、シンプルな中にも表現力の高いデザインが可能です。

また、レトロな雰囲気を演出したい場合や、視認性を重視したサイン印刷、ポスターデザインにも多用されています。二色刷りは、独特の風合いとコントラストで、見る人の印象に残りやすい効果を発揮するため、印刷物の個性を引き出す要素として活用されています。

まとめ

二色刷りは、限られた色数でありながらも視覚的なインパクトを生み出す印刷技術です。歴史的には浮世絵や広告印刷などで発展し、今日ではコスト効率とデザイン性を両立させる方法として印刷業界で再び注目されています。シンプルながらも効果的な二色刷りは、今後もエコロジーとデザインの両方を追求する現代の印刷業界で重要な技術として活用されていくでしょう。

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