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印刷業界における並製本とは?

印刷業界における並製本(ふりがな:なみせいほん、英:Paperback Binding、仏:Reliure Broché)とは、表紙に厚紙ではなく柔軟な紙を用い、本の背を糊やステープルで接着して仕上げる製本方法を指します。並製本は製作コストが低く、大量生産が可能なため、書籍、雑誌、パンフレットなどで広く採用されています。その一方で、耐久性が上製本に比べて劣るという特徴もあります。


並製本の概要

並製本は、軽量で柔軟性のある製本方式で、多くの場合、表紙は薄いカード紙またはコート紙で作られます。この製本方法は、大量生産が必要な商業印刷物に適しており、コストパフォーマンスに優れています。

  • 主な用途:文庫本、雑誌、パンフレット、カタログなど。
  • 特徴:軽量で携帯性に優れ、印刷や加工の自由度が高い。
  • 価格帯:上製本(ハードカバー)よりも低コスト。

並製本の歴史と由来

並製本は、19世紀から20世紀初頭にかけて広まりました。特に、書籍をより多くの読者に届けるために、コスト削減を目的として発展した製本方法です。ペーパーバック形式の書籍が普及し始めたのは、印刷技術の進化とともに大量生産が可能になった時期でした。

「並製本」という名称は、日本において上製本(ハードカバー)との比較で名付けられたもので、「並」という言葉には「標準的な」という意味が含まれています。一方、英語の「Paperback」は、文字通り柔らかい紙の表紙を意味し、この形式の特徴を端的に表しています。

現在の並製本の使われ方

並製本は、以下のような用途で広く活用されています:

  • 文庫本:持ち運びがしやすく、手軽に購入できる書籍として一般的です。
  • 雑誌:週刊誌や月刊誌などの定期刊行物に多用されています。
  • パンフレット:企業案内や商品カタログなどの販促資料に適しています。
  • 教材・マニュアル:教育資料や使用説明書にも多く採用されています。

並製本の加工方法と特徴

並製本の加工は、以下の工程を経て行われます:

  • 印刷:表紙と本文を別々に印刷します。
  • 折り加工:本文の印刷用紙をページごとに折りたたみます。
  • 綴じ加工:本文を接着剤やホチキスで綴じ、表紙と接合します。
  • 仕上げ:断裁機でページを整え、最終的な形状を整えます。

並製本の主な特徴として、以下が挙げられます:

  • 軽量性と柔軟性:軽量なため、持ち運びやすく、収納にも便利です。
  • コストの低さ:簡易的な製本方式であるため、大量生産時のコスト削減が可能です。
  • デザインの自由度:表紙に多様な印刷デザインや加工が可能です。

並製本の利点と課題

並製本の主な利点は以下の通りです:

  • 低コスト:製本工程が簡素であるため、価格を抑えた印刷物を提供できます。
  • 高い携帯性:軽量かつ柔軟性があるため、持ち運びやすいです。
  • 短納期対応:製本作業が迅速に行えるため、短期間で大量の印刷物を生産できます。

一方で、並製本には以下のような課題もあります:

  • 耐久性の低さ:上製本に比べて壊れやすく、長期間の使用には不向きです。
  • 高級感の不足:上製本のような見た目の重厚感や高級感を持たないことが多いです。
  • 劣化の早さ:糊や接着部分が経年劣化しやすいという特性があります。

まとめ

並製本は、低コストで大量生産が可能な実用的な製本方法として、印刷業界で幅広く活用されています。その歴史は印刷技術の発展と読者層の拡大に密接に関連しており、現在も文庫本や雑誌、パンフレットなどで欠かせない手法です。軽量で柔軟な特性を活かした用途が多い一方で、耐久性に課題があるため、用途に応じた選択が重要です。

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