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印刷業界における書体変更とは?

印刷業界における「書体変更」(ふりがな:しょたいへんこう、英:Font Change、仏:Changement de Police)とは、印刷物に使用する文字の書体を変更する作業を指します。書体変更は、デザインや読みやすさ、ブランドのトーンを反映するための重要な要素であり、特にロゴや広告、書籍の印刷において、その目的に応じた書体を選定し、適用することで印象や効果を高めます。


書体変更の概要

書体変更は、デザインや視覚的な効果、あるいはブランドイメージに応じて、文字の見た目を変更するために行われるプロセスです。印刷物には、装飾的な書体からシンプルで読みやすいものまで、様々なフォントが使用されますが、目的やターゲット層に合わせて書体を変更することで、読み手に与える印象をコントロールすることができます。

書体変更は、特にロゴや見出し、キャッチコピーなど、視覚的に目立たせたい箇所で行われることが多いです。また、文字数が多い本文部分では、視認性を重視してシンプルな書体が選ばれることが一般的です。デザインソフトウェア上では、書体を簡単に切り替えられるため、複数の書体を比較し、印刷物の全体的なトーンやバランスに合った書体を選ぶことが可能です。

書体変更の歴史と発展

書体の歴史は、活版印刷が発明された15世紀に遡ります。グーテンベルクによって印刷技術が開発されると、文字の形状が規格化され、読みやすさや美しさを考慮したさまざまな書体が生み出されました。当初は書体の選択肢が限られていましたが、時代が進むにつれて、書体デザインの技術が発展し、より多くの書体が使用可能となりました。

1980年代以降、DTP(デスクトップパブリッシング)技術の普及により、デジタル上で自由に書体を変更できる環境が整いました。Adobe社のPostScriptフォントやTrueTypeフォントの登場により、デジタルデータとしての書体が簡単に扱えるようになり、書体変更が一層容易になりました。これにより、デザイナーは印刷物に合わせて適切な書体を自由に選択できるようになり、印刷業界におけるデザインの幅が広がりました。

現在の書体変更のプロセスと使用例

現在では、Adobe InDesignやIllustrator、Photoshopといったソフトウェア上で、書体の変更が容易に行えます。例えば、ロゴやキャッチコピーには個性的な書体を、本文には読みやすいセリフ体やサンセリフ体を選ぶなど、用途に応じて柔軟に書体を切り替えられます。また、クライアントのブランドガイドラインに沿って特定の書体が指定されている場合、それに従って書体変更を行うことで、ブランドの一貫性が保たれます。

さらに、書体変更にはカーニングトラッキングといった文字間の調整も含まれることが多く、これにより文字の可読性やデザインの統一感が高められます。特に、広告やポスターのデザインでは、書体変更によって文字の印象を変え、商品やサービスのイメージを強調することができます。

書体変更が重要な理由と業界での使用例

書体変更は、印刷物のデザインにおいて重要な役割を果たします。異なる書体を使用することで、同じ内容でも異なる印象を与えることができるため、書体の選定はデザインの成功を左右する重要な要素です。例えば、高級感を表現したい場合はセリフ体、モダンで洗練されたイメージを出したい場合はサンセリフ体を使用するといった具合に、書体の選択が視覚的なメッセージを強調します。

また、書籍や新聞など、長時間読むことが想定される印刷物においては、可読性の高い書体を使用することが求められます。視認性を重視しつつ、適切な書体変更を行うことで、読者が内容に集中しやすくなる効果も期待できます。このように、書体変更は内容とデザインの調和を図るために欠かせない工程です。

まとめ

書体変更は、印刷物の印象を左右し、デザインと内容の意図を的確に伝えるための重要な手段です。長い歴史を経て、現在ではデジタル技術の進展により簡単に行えるようになり、書体選定の自由度が増しました。今後も書体変更は、印刷業界においてデザインの質を高め、ブランドの個性やメッセージを強調するための重要な役割を果たし続けるでしょう。

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