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印刷業界における照度調整とは?

印刷業界における「照度調整」(ふりがな:しょうどちょうせい、英:Illumination Adjustment、仏:Ajustement de l’Éclairage)とは、印刷物の色や品質を正確に評価するために、作業環境の照明の明るさを調整する作業です。適切な照度で印刷物を確認することで、色味や濃淡が正しく見えるようになり、仕上がりの品質が一貫して保たれます。特にカラーマッチングが重要な印刷プロセスで不可欠な工程です。


照度調整の概要

照度調整は、印刷作業の品質管理の一環として、作業場や検査台の照明の明るさを最適化することです。適切な照度で印刷物を確認することで、色の見え方が変わらず、製品の品質が一定に保たれます。印刷物のカラーチェックは、標準的な照度環境で行うことが基本であり、特に美術書、写真集、カラーカタログなど、色の再現性が重視される場合において、照度調整が重要な役割を果たします。

具体的には、標準的な5000Kの色温度を持つ照明のもとで、ISO規格に基づいた照度(通常は500~2000ルクス)が推奨されています。このような調整により、印刷物の色が自然光に近い状態で評価されるため、照度環境による色の違いを最小限に抑えることが可能となります。

照度調整の歴史と背景

照度調整の歴史は、印刷技術の発展とともに進化してきました。印刷物の品質管理が厳しくなる中で、色の再現性を正確に評価するための照度管理が重要視されるようになりました。特に20世紀に入ってから、照明の種類や明るさの違いが色の見え方に影響を与えることが研究され、印刷業界でも照度の調整が標準化されてきました。

かつては、自然光のもとで色校正が行われることが多かったのですが、天候や時間帯により自然光の状態が一定でないため、照明を使用した管理が主流になりました。1980年代には色評価専用の照明機器が開発され、色評価用照明(ライトブース)を使用しての照度管理が一般化しました。これにより、印刷工場や校正現場で標準的な照度環境が整えられ、品質管理が大幅に向上しました。

照度調整の技術的な側面と注意点

照度調整には、適切な色温度と照度を確保することが重要です。印刷業界では、一般的に5000K(D50)の色温度が推奨されており、この温度により自然光に近い環境で印刷物の色味を確認することができます。5000Kは「昼白色」とも呼ばれ、日中の屋外光に近い色温度であり、色の偏りが少なく正確な色再現を確認するのに適しています。

照度に関しても、印刷物の確認作業にはISO12646規格に準じて500~2000ルクスの明るさが推奨されます。過剰な照度では色が白っぽく見え、逆に暗すぎると色が沈んで見えるため、安定した照度管理が求められます。照度の調整には、調光機能を備えた専用のライトブースや色評価用照明を使用することが一般的です。

また、照度調整を行う際には、照明器具自体の老朽化や光源の種類にも注意が必要です。長期間使用した照明器具は光量が低下し、色温度が変わることがあります。定期的な照明の点検と交換が推奨され、標準的な色評価環境を維持することで、常に正確な色確認が行えるようになります。

現在の照度調整の使い方と応用例

現在、照度調整は多くの印刷現場で重要な品質管理の一部として取り入れられています。特に、アートブックや広告ポスター、商品のカタログなど、色の再現性が重要な印刷物においては、照度調整の徹底が欠かせません。印刷工場やデザイン事務所では、ISO規格に準じた照度環境を整え、専用のライトブースでカラーチェックを行います。

また、デジタル化が進む中、電子デバイスの画面で確認する色と印刷結果の色の差を最小限にするため、照度調整が活用されています。モニタ校正やカラーマネジメントと照度調整を組み合わせることで、デジタルデータと印刷物の色が一致するような管理が可能です。

まとめ

照度調整は、印刷物の色再現性と品質を確保するために不可欠なプロセスです。印刷業界において、適切な照度環境でのチェックが品質管理を支えており、色の正確な再現に大きく貢献しています。照度調整の工程は、デジタル技術の導入によりさらに重要性が増し、今後も印刷業界における品質向上に欠かせない役割を果たし続けるでしょう。

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