ビジプリ > 印刷用語辞典 > さ行 > 【サドルステッチ】

サドルステッチとは?

印刷業界におけるサドルステッチ(さどるすてっち / Saddle Stitch, Couture à Cheval)とは、印刷物の中央部分を針金やホチキスで綴じる製本方法の一つです。複数枚の紙を二つ折りにしてページを作り、折り目部分(中央部)を針金で留めることで、薄い冊子やパンフレットを簡単に仕上げることができます。コスト効率が良く、製本が簡単であるため、カタログ、パンフレット、マニュアルなど多くの用途で使用されています。


サドルステッチの概要

サドルステッチは、印刷した用紙を中央で二つ折りにして、折り目の部分を針金やホチキスで綴じる製本方式です。製本の際、用紙は「サドル(鞍)」の形に乗せられて中央を留めることから、この名称がつけられました。サドルステッチは、シンプルな構造でありながら頑丈に綴じられるため、カタログや小冊子、冊子状のメニュー、取扱説明書などで広く使われています。

この製本方式は、他の製本方法に比べて短時間で完成し、比較的安価なため、印刷物のコストを抑えつつ、手軽に冊子状の仕上がりを実現できます。ただし、ページ数が多くなると中央部分が開きにくくなるため、一般的には40ページ以下の冊子に適しています。

サドルステッチの歴史と発展

サドルステッチの技術は、20世紀初頭に自動製本機が登場したことから普及しました。それ以前は、冊子の綴じ作業は手作業で行われており、ページ数が少なく、小規模な印刷物に使用されることが一般的でした。しかし、自動製本機の進化により、サドルステッチの製本が効率的に行えるようになり、パンフレットやカタログといった商業印刷物にも多く採用されるようになりました。

サドルステッチは、製本コストの低さや短い製本時間が特徴で、特に販促用の資料や雑誌などの大量印刷に適しています。また、印刷技術の発展に伴い、針金の種類や綴じ方も進化し、より耐久性や美観を兼ね備えた製本が可能となりました。今日では、商業印刷から学校の冊子に至るまで、幅広い分野で使用されています。

サドルステッチのプロセスと方法

サドルステッチのプロセスは、まず印刷された複数の用紙を中央で二つ折りにしてページを作り、それを「サドル」と呼ばれる製本機の中央部にセットします。次に、折り目部分をホチキスや専用の針金で留めていきます。この針金の綴じ作業は通常、1箇所または2箇所の留め位置で行われ、綴じ方が均一になるよう調整されます。

製本後、冊子の四方をトリミングしてページ端を整えます。サドルステッチの特性上、ページが少ないほどフラットに開くことができ、読みやすい仕上がりになります。また、サドルステッチを行う際には、ページ数が4の倍数になるよう調整が必要です。これは二つ折りにすることで見開きページが形成されるため、ページの構成上、4ページ単位で増減する必要があるからです。

現在のサドルステッチの重要性と用途

現在、サドルステッチはコストパフォーマンスと使いやすさから、商業印刷や広報物の製作で広く利用されています。例えば、展示会やイベントで配布されるパンフレット、商品カタログ、サービスガイド、冊子状のメニューなど、短期間で大量に必要とされる印刷物において重要な製本方法です。サドルステッチによって、ページ数が限られる印刷物を効率的に綴じることができ、軽量で持ち運びやすい仕上がりを提供します。

また、デザイン性が重要視されるフリーペーパーや企業の広報冊子などでもサドルステッチが多く利用されており、シンプルな見た目ながらも使いやすい仕様が好まれています。さらに、学校の資料集やクラブ活動の報告書など、手軽に冊子化できる方法としても一般的です。

サドルステッチの今後の展望

今後、サドルステッチはデジタル印刷技術の進化に伴い、さらに効率化と高品質化が進むと考えられます。デジタル印刷機と製本機が一体化した製本ラインの普及により、短時間での大量製本や小ロットでのカスタマイズ冊子の製作が可能となり、サドルステッチの用途がさらに広がるでしょう。また、リサイクル可能な針金の導入や、環境に配慮した印刷技術の採用も進んでおり、エコフレンドリーな製本技術としての価値も高まると期待されます。

サドルステッチは、印刷物の持つ機能と利便性を活かした製本技術として、今後も広く活用され続け、印刷業界において重要な位置を占めるでしょう。

▶印刷用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの関連サービス