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スリットとは?

印刷業界におけるスリット(すりっと / Slit, Fente)とは、紙やフィルムなどのロール素材を所定の幅に切断する工程を指します。スリットは、包装材やラベル、ステッカーなどの製品を製造する際に重要な工程で、用途や仕様に合わせた幅に素材を加工します。高精度なスリット加工により、製品の品質を維持しつつ、効率的に必要なサイズの素材を供給することができます。


スリットの概要

スリットとは、ロール状の紙やフィルム、金属箔などの素材を指定された幅で縦方向に切り分ける工程です。主に包装材や印刷物、製造業において、商品に合わせたサイズの素材を供給するために行われます。例えば、ラベルシールやテープの製造では、印刷後のロール状の素材を、スリット加工で必要な幅に切断し、最終製品のサイズに調整します。

スリット加工は、仕上がりの精度が要求されるため、専用のスリッター(スリット加工機)を使用して行われます。加工時には、カッターや円盤状のブレードが素材を均等に切り分け、希望の幅に仕上げます。スリットの精度が製品の品質に直結するため、幅や切断面の滑らかさに注意が払われます。

スリットの歴史と発展

スリット加工は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、包装材や製造業での需要増加により普及しました。最初は単純な手動のカッティングツールが使用されていましたが、産業の発展とともに自動化されたスリット機が開発され、効率化が進みました。1950年代には、包装材の多様化と大量生産のニーズから、さらに高精度で高速なスリット加工が求められるようになり、スリッター機の技術が向上しました。

現在では、コンピュータ制御やレーザーカットなどの高度な技術が導入され、高い精度でのスリットが可能になっています。また、デジタル印刷技術の発展により、多品種少量生産にも対応できるスリット加工が求められるようになり、効率性と柔軟性を兼ね備えたスリット機が導入されています。

スリットのプロセスと方法

スリットのプロセスでは、まず素材のロール幅や厚み、仕上がりの幅を設定し、スリッター機に材料をセットします。スリッター機には、カッターや円盤状のブレードが装着されており、指定された幅で素材を縦に切断していきます。切断は、ラザーカッターやナイフカッターなど、素材の特性に合わせた刃で行われ、加工精度が高くなるよう調整されます。

スリット加工の際には、素材がズレないようにテンション(張力)を適切に管理することが重要です。張力が不適切だと、切断面が歪む原因となり、製品の品質が低下します。加工後には、指定された幅でロール状に巻き直され、次の工程に向けて準備が整えられます。

また、スリット加工には複数の方法があり、シャフトに素材を固定して一度に複数の幅でカットする「複数刃スリット」や、レーザーによる高精度スリットなどが存在します。製品の目的や素材に応じて適切なスリット方法が選択されます。

現在のスリットの重要性と用途

現在、スリット加工は印刷業界や包装業界、電子部品の製造において不可欠な工程です。ラベルシールやパッケージフィルム、梱包用テープなど、多くの製品はスリットによって所定のサイズにカットされ、用途に応じた幅の素材が提供されています。特に食品や化粧品のパッケージ、医療用シールなどでは、高精度のスリットが求められ、スリット品質が製品の信頼性に直結する場面も少なくありません。

また、エレクトロニクス分野でも、導電性フィルムや絶縁テープの製造でスリット加工が行われ、精密な部品を効率よく供給する役割を果たしています。さらに、環境意識の高まりとともに、再生紙やリサイクルフィルムのスリット加工が進められており、エコフレンドリーな素材の加工需要も増加しています。

スリットの今後の展望

今後、スリット加工はさらに自動化・高度化が進み、AIやIoTによるリアルタイム管理や自動調整機能が導入されると予想されます。これにより、さらに高い精度と効率が実現し、多品種少量生産やカスタマイズ加工への対応力が向上するでしょう。また、環境負荷を低減するため、バイオプラスチックやリサイクル素材に対応したスリット技術の開発も進むと考えられます。

スリット加工は、印刷業界や製造業において重要な役割を担っており、今後も多様なニーズに応じた技術革新が期待されています。

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