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印刷業界におけるスクリーンテンションとは?

印刷業界におけるスクリーンテンション(ふりがな:すくりーんてんしょん、英:Screen Tension、仏:Tension d'Écran)とは、シルクスクリーン印刷において、スクリーン(メッシュ)をフレームに張る際の張力のことを指します。適切なテンションが保たれていないと、印刷の精度やインクの転写が不均一になるため、品質に大きく影響を与えます。スクリーンテンションは、特に精細なデザインや多色印刷において重要な要素となります。


スクリーンテンションの概要

スクリーンテンションとは、シルクスクリーン印刷で使用されるメッシュ(スクリーン)をフレームに張る際に加える張力のことです。適切なテンションが確保されていると、メッシュがしっかりと張られ、インクの転写が均一になり、印刷物の品質が向上します。逆に、テンションが不足していると、インクの滲みやかすれが発生しやすくなり、デザインが崩れる原因となります。

スクリーンテンションは、メッシュの素材(ポリエステルやナイロンなど)や目数(メッシュの密度)に応じて調整する必要があります。一般的に、目数が多い細かなメッシュほど高いテンションが求められます。また、印刷する素材やインクの種類によっても最適なテンションが変わるため、経験と調整が求められます。

スクリーンテンションの歴史と由来

シルクスクリーン印刷は、20世紀初頭にアメリカで商業的に普及しました。当時は、絹(シルク)をメッシュとして使用していたため、「シルクスクリーン」と呼ばれていました。スクリーンテンションの管理が重要視され始めたのは、1950年代に化学繊維であるポリエステルメッシュが開発され、耐久性と精度が向上したことが契機です。

ポリエステルメッシュの登場により、スクリーンのテンションを高めることが可能になり、精細なデザインや多色印刷がより高品質に仕上がるようになりました。これにより、スクリーンテンションの調整が印刷品質を左右する重要な技術として認識されるようになり、専用のテンションメーターも開発されました。

スクリーンテンションの現在の使われ方

現代の印刷業界では、スクリーンテンションは以下のような場面で重要視されています:

  • 精密な回路基板印刷:電子部品のプリント基板では、微細なパターンが要求されるため、テンション管理が特に重要です。
  • 多色印刷:多色のデザインでは、色ごとにスクリーンを重ねるため、各スクリーンのテンションが均一でないとズレが生じやすくなります。
  • テキスタイル印刷:布地への印刷では、柔軟な素材にインクを均一に転写するため、適切なテンションが必要です。
  • ポスターやサイン印刷:大判の印刷物でも、スクリーンの張力が重要であり、画質の鮮明さに影響を与えます。

さらに、デジタル技術の発展により、シルクスクリーン印刷とデジタルプリンティングを組み合わせたハイブリッド印刷が増えています。これにより、スクリーンテンションの調整がますます高度化しており、自動テンション調整機能を備えた印刷機も登場しています。

スクリーンテンションの利点と注意点

スクリーンテンションの適切な管理には、以下の利点があります:

  • 高品質な印刷:適切なテンションにより、インクの均一な転写が実現し、印刷物の精度が向上します。
  • 生産効率の向上:スクリーンのテンションが安定していると、印刷のやり直しが減少し、効率的な生産が可能です。
  • 長寿命のスクリーン:適切な張力を維持することで、スクリーン自体の耐久性が向上し、コスト削減に寄与します。

一方で、以下の点に注意が必要です:

  • 過度なテンション:メッシュに過剰な張力をかけると、破損の原因となります。適切なテンションメーターを使用して調整が必要です。
  • 温度や湿度の影響:環境条件によりメッシュの伸縮が発生し、テンションが変化するため、定期的な再調整が求められます。
  • テンションの劣化:長期間使用することでテンションが緩むため、定期的な交換や再張りが必要です。

まとめ

スクリーンテンションは、シルクスクリーン印刷における品質を左右する重要な要素です。印刷物の精度や耐久性を高めるためには、適切なテンション管理が欠かせません。技術の進化により、スクリーンテンションの調整も自動化されつつあり、今後も印刷業界における品質向上のための重要な技術として発展していくことでしょう。

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