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印刷業界における水溶性樹脂とは?

印刷業界における「水溶性樹脂」(ふりがな:すいようせいじゅし、英:Water-Soluble Resin、仏:Résine Hydrosoluble)とは、水に溶解する特性を持つ高分子材料の一種で、主に水性インキやコーティング材に使用されます。環境に優しく、揮発性有機化合物(VOC)の排出を抑えるため、エコロジーな印刷素材として注目されています。現在では商業印刷や包装材の分野で広く利用されています。


水溶性樹脂の概要

水溶性樹脂は、水を溶媒として使用するインキやコーティング材の主成分として利用される高分子化合物です。これにより、油性溶剤を使わずに均一な膜を形成することが可能で、環境負荷を軽減する役割を果たします。

  • 主な種類:ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、セルロース系樹脂。
  • 特性:水溶性、低臭、低毒性、そして優れた塗布性や接着性。
  • 用途:水性インキ、接着剤、バリアコート、フィルム形成材。

水溶性樹脂の歴史と由来

水溶性樹脂の発展は、環境意識の高まりとともに進化してきました。20世紀中頃、従来の溶剤型インキやコーティング材が大気汚染や健康被害を引き起こす問題が注目され、これに代わる環境負荷の低い素材が求められるようになりました。

1970年代には、ポリビニルアルコール(PVA)をはじめとする水溶性高分子材料が開発され、工業用途に導入され始めました。これらの材料は、揮発性有機化合物(VOC)の排出を抑制し、エコロジーな代替品として印刷業界でも採用が拡大しました。

21世紀に入ると、再生可能資源やバイオベースの水溶性樹脂も登場し、持続可能な印刷素材としてさらに注目を集めています。

現在の水溶性樹脂の使われ方

現代では、水溶性樹脂は以下のような形で印刷業界で使用されています:

  • 水性インキ:ポスターや包装材、新聞などの印刷に使用され、鮮明な発色と環境負荷軽減を両立します。
  • コーティング材:食品包装や紙コップなどに、耐水性や耐油性を付加するためのバリアコートとして使用されます。
  • 接着剤:紙やフィルムのラミネート加工において、強力で環境に配慮した接着剤として活用されます。
  • 特殊用途:水に溶解可能なフィルムや溶剤レス印刷など、環境配慮型製品の開発に使用されます。

水溶性樹脂の利点と課題

水溶性樹脂には以下のような利点があります:

  • 環境負荷の低減:VOCの排出を抑え、環境に優しい印刷を実現します。
  • 安全性:低臭性で毒性が低いため、作業環境の改善につながります。
  • 多用途性:水性インキやコーティング、接着剤など、幅広い分野で活用可能です。

一方で、以下の課題も存在します:

  • 乾燥性:水を溶媒とするため、乾燥に時間がかかる場合があります。
  • 耐水性:水溶性であるため、条件によっては耐水性に課題が生じることがあります。
  • コスト:一部の特殊な水溶性樹脂は、従来の溶剤型材料よりも高価です。

まとめ

水溶性樹脂は、環境負荷の軽減と作業安全性の向上を目的に開発された高分子材料で、印刷業界における水性インキやコーティング材の主成分として重要な役割を果たしています。その歴史は環境意識の高まりとともに進化し、現在では多様な用途に対応する素材として活用されています。一方で、乾燥性や耐水性の課題も残されており、さらなる技術革新が求められています。

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