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ドライオフセット装置とは?

印刷業界における「ドライオフセット装置」(ふりがな:どらいおふせっとそうち、英:Dry Offset Printing Device、仏:Dispositif d'Impression Offset à Sec)とは、水を使わずにインクのみで印刷を行うオフセット印刷装置です。この装置は、特にパッケージ印刷やプラスチック製品の印刷に利用されることが多く、乾式であるため高精細な印刷が可能で、乾燥時間が短縮できる特徴があります。


ドライオフセット装置の概要

「ドライオフセット装置」とは、通常のオフセット印刷のように水を使用せず、インキのみを利用して印刷する技術を搭載した装置です。従来のオフセット印刷では、水と油の反発作用を利用して印刷プレート上の非印刷部分に水を引き、印刷部分にインキを付着させます。しかし、ドライオフセットではこのプロセスが不要であり、特定のインキとプレートの特性を用いることで、直接的かつ精密な印刷を実現します。

特にプラスチックや金属のパッケージ、ペットボトルキャップなどの小さな立体物に対しても安定した印刷ができるため、産業用途でも多く利用されています。高速で効率的に印刷を行えるため、工業生産ラインにも適しており、コスト削減やスピードの向上にも貢献しています。

ドライオフセット装置の歴史と発展

ドライオフセット装置の歴史は、印刷技術の発展と産業用途の要求の高まりと共に発展してきました。従来のオフセット印刷は高品質な印刷が可能であったものの、湿し水の制御が難しく、印刷品質が安定しないケースもありました。これを解決するために、1970年代から1980年代にかけて「ドライオフセット」という水を使用しない方式が登場し、特にパッケージング印刷業界で広く採用されるようになりました。

さらに、プラスチックや金属といった非吸収性の素材に直接印刷する技術が求められるようになり、ドライオフセットはこれに応える形で進化を遂げました。特に、円筒状の形状や凹凸のある表面にも対応できる特性が評価され、さまざまな産業分野で普及しています。

ドライオフセット装置のプロセスと方法

ドライオフセット印刷では、まず版(プレート)にインキをのせ、ブランケットと呼ばれる中間のローラーにインキが転写され、その後に印刷対象物にインキが転写されます。この工程は従来のオフセット印刷と似ていますが、水を使用しないため、湿度や水分量の管理が不要で、効率的な印刷が可能です。

ドライオフセット装置では、シリコーン層を含んだ特殊な印刷版が使用されます。シリコーン層が非印刷部分に存在することで、インキが付着しない部分が自動的に形成され、精密な印刷が可能になります。また、印刷時に水を使用しないため、速乾性のインキを活用することができ、生産ラインでの乾燥時間を短縮できるのも大きな利点です。

また、ドライオフセットはインキの色数が多くない場合に特に有効で、多くの飲料容器やキャップ、チューブなどの製品に使用されています。短時間で多くの印刷を行う必要がある場合に適した印刷方法といえるでしょう。

ドライオフセット装置の現在の使用方法と重要性

ドライオフセット装置は、現代の印刷業界において、特にプラスチック製品や金属容器、化粧品のチューブやキャップなど、耐久性が求められる産業用印刷に多く用いられています。例えば、ペットボトルのキャップに企業ロゴや製品情報を印刷する際など、立体物への印刷でドライオフセットが力を発揮します。

また、水を使用しないことで印刷精度が安定し、インクの乾燥時間を短縮できるため、工場の生産効率を大幅に向上させます。さらに、インキの付着精度が高いため、印刷物の色鮮やかさが保持され、品質の高い仕上がりが期待できます。これにより、包装材やパッケージ製品の差別化を図る企業にとっても有効な技術となっています。

まとめ

ドライオフセット装置は、印刷業界の中でも特殊な用途に適した装置であり、特に工業用途やパッケージ印刷で大きな役割を果たしています。歴史的に、湿し水の問題を解決するために開発された技術であり、現在では多くの産業でその高い精度と効率性が評価されています。今後も、印刷品質や効率を求める産業分野での需要が続くことが予想されるでしょう。

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