【多面印刷】ビジプリ印刷用語辞典

印刷業界における多面印刷とは？

印刷業界における「多面印刷」（ふりがな：ためんいんさつ、英：Gang Printing、仏：Impression à Plusieurs Faces）とは、1枚の大判用紙に複数のデザインやレイアウトを一度に印刷する方法です。多面印刷は、チラシや名刺、パンフレットなどの小型の印刷物を効率よく生産するために使用され、材料の無駄を省き、コストと時間を削減する効果があります。印刷業務の効率化と低コスト化を図るために、特に商業印刷で多用されています。

多面印刷の概要

多面印刷は、印刷用紙を最大限に活用して、1枚の紙に複数のデザインを一度に印刷する技法です。たとえば、名刺、チラシ、パンフレットなど、同じサイズの印刷物をまとめて印刷する際に利用され、必要に応じて異なるデザインやサイズのものを1枚の紙に配置することも可能です。この方法により、余白や紙の使用量が最小限に抑えられるため、用紙コストや印刷コストの削減が期待できます。

多面印刷は、特に商業印刷の分野でよく使用されており、複数のクライアントの印刷物を1枚の印刷用紙に配置して同時に印刷する「共同印刷」も多面印刷の一種です。これにより、少部数の注文でも経済的に対応できるため、印刷コストを低く抑えたい企業や団体にとって重要な技術となっています。

多面印刷の歴史と背景

多面印刷の技術は、商業印刷が大量生産のニーズに応えるために発展した19世紀後半から20世紀初頭にかけて発展しました。当時、印刷機の効率を最大化するため、1枚の紙に複数の印刷物を配置して印刷する方法が考案され、商業印刷のコスト削減手段として多面印刷が採用されるようになりました。

1980年代には、DTP（デスクトップパブリッシング）技術の普及により、レイアウトソフトを使って複数のデザインを容易に配置できるようになり、多面印刷の手法がさらに発展しました。また、デジタル印刷機の進化により、デザインごとに異なる情報を扱うことが可能になったため、少部数の印刷ニーズに応える多面印刷が広く活用されるようになりました。

多面印刷の技術的な側面と注意点

多面印刷を行う際には、用紙の配置や印刷物のカット位置を正確に設定する必要があります。印刷物同士の余白が最小限に設定されるため、少しのズレでも仕上がりに影響を及ぼす可能性があるため、正確な位置合わせが不可欠です。デジタルレイアウトソフトを活用して、デザインとカットラインの位置を精密に調整し、印刷物が正しい位置に配置されるように工夫されています。

また、多面印刷は複数のクライアントのデザインを同時に印刷する場合、色や用紙の統一性が重要です。特にカラー印刷では、デザインごとに色味のバランスが異なると、全体の仕上がりに影響を与えるため、色調整を行うことが求められます。用紙も同様に、厚みや質感が異なる場合には仕上がりの質に影響を与える可能性があるため、適切な用紙の選定が行われます。

現在の多面印刷の使い方と応用例

現在、多面印刷は商業印刷やオンデマンド印刷において非常に有用な技術とされています。例えば、名刺印刷では、複数のクライアントの名刺を1枚の印刷シートに並べて印刷することで、少量注文のニーズにもコストを抑えて対応できます。また、チラシやポストカードなども同様に、多面印刷を用いることで安価で効率的に生産されています。

さらに、多面印刷はパッケージ印刷でも活用されており、化粧品や食品のパッケージなどで、複数のデザインやサイズの箱を一度に印刷して効率よくカットすることで、資材とコストの削減を図ることができます。デジタル印刷機の発展により、小ロットやカスタマイズの多様なニーズにも対応できるようになり、多面印刷の応用範囲はさらに広がっています。