印刷業界におけるDPSとは?

印刷業界における DPS(でぃーぴーえす、Double Page Spread / Double Page Étendue)とは、雑誌やカタログなどの見開きの2ページにわたるレイアウトデザインを指します。見開きページ全体を1つの大きなキャンバスとして使用し、インパクトのあるビジュアルや情報を伝える手法です。DPSは広告や特集記事などで広く活用され、視覚的な魅力を最大限に引き出すための重要な要素となっています。



DPSの歴史と言葉の由来

DPSの概念は、印刷物が大衆化し始めた19世紀後半に誕生しました。当時、雑誌や新聞などで見開きページ全体を活用したデザインが注目され、大型広告や特集記事に使用されるようになりました。特に20世紀初頭、印刷技術の進化とともに高品質な画像やカラーデザインが可能となり、DPSは広告業界で重要な手法として確立されました。

「Double Page Spread」という名称は、英語で「2つのページを広げた」という意味で、見開きデザインの特徴を端的に表しています。この手法は、ビジュアル重視の広告や情報量の多い特集に最適化されてきました。

DPSの特徴と技術

DPSには以下の特徴があります:

  • 大きな視覚効果:見開き全体を活用することで、迫力のあるデザインが可能。
  • 情報の統合性:2ページにまたがる内容を一貫したテーマで展開できる。
  • 読者の注意を引く:目を引くビジュアルやレイアウトで読者の関心を集める。

DPSの制作では、以下のような技術が活用されます:

  • 精密なレイアウト設計:ページの中央(ノド部分)のデザインが歪まないよう調整。
  • 高解像度の画像:見開き全体に使用する画像は、拡大しても品質が保たれるようにする。
  • 印刷の色管理:色がページをまたいで均一になるよう、カラーマネジメントを行う。

DPSの活用例と現在の使われ方

DPSは、以下のような印刷物で広く活用されています:

  • 雑誌:特集記事やインタビューで、大胆なビジュアルと情報を組み合わせたページ構成。
  • 広告:ブランドや商品の広告キャンペーンで、インパクトのあるデザインを展開。
  • カタログ:商品一覧や説明を見やすく配置するためのレイアウト。

例えば、高級車のプロモーション広告では、DPSを利用して車両全体の美しさや特徴を一目で伝える構成が採用されています。また、旅行パンフレットでは、美しい風景写真を背景に情報を配置することで、読者の興味を引きつけています。

DPSのメリットと課題

DPSの主なメリットは以下の通りです:

  • 視覚的な訴求力:見開き全体を使うことで、他のページよりも注目度が高まる。
  • 情報の整理:広いスペースを活用して、複雑な情報を整理しやすい。
  • ブランドイメージの強化:一貫したデザインで、ブランドの印象を読者に深く刻む。

一方で、次のような課題も存在します:

  • 印刷コスト:高品質なデザインや印刷には追加コストがかかる。
  • ノド部分のデザイン制約:ページの中央部分に情報が隠れたり、デザインが途切れるリスク。
  • 制作時間の増加:広いスペースを効果的に活用するために、詳細な設計が必要。

DPSの未来と展望

DPSは今後も、印刷業界における重要なデザイン手法として進化していくと考えられます。特に、デジタル印刷技術の進化により、カスタマイズ可能なDPSデザインが可能になり、個別化された広告やマーケティングでの利用が増加するでしょう。

また、デジタルメディアとの融合により、AR(拡張現実)やQRコードを組み合わせたインタラクティブなDPSデザインが広がる可能性もあります。これにより、読者にとってより魅力的で効果的な情報伝達手法としてDPSの役割はさらに拡大していくでしょう。

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