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印刷業界における蓄光インキとは?

印刷業界における「蓄光インキ」(ふりがな:ちっこういんき、英:Phosphorescent Ink、仏:Encre Phosphorescente)とは、光を吸収して蓄え、その後、暗所で徐々に光を放つ性質を持つ特殊なインクを指します。このインクは、安全表示や装飾目的、さらにはセキュリティ印刷に活用されています。蓄光材として主にストロンチウムアルミネートが使用され、長時間の発光が特徴です。


蓄光インキの概要

蓄光インキは、光を蓄積する機能を持つ特殊な材料を含むインクで、光を吸収した後にエネルギーとして蓄え、暗い環境で徐々に放出することで発光します。主に紫外線や太陽光、蛍光灯の光を吸収し、その効果を持続させることが可能です。

  • 主な特性:光を蓄える能力(蓄光)と、それを放出する能力(発光)。
  • 発光時間:光の吸収時間や蓄光材の種類によって、発光時間が異なりますが、現代の技術では数時間持続する製品もあります。

蓄光インキの歴史と由来

蓄光インキの起源は、発光素材の研究に遡ります。最初の発光素材として使われたのは、1600年代に発見されたバリウムサルファイドですが、実用的な蓄光材は20世紀に入ってから開発されました。

1970年代にストロンチウムアルミネートが発明され、それまでの硫化亜鉛に比べて発光時間が飛躍的に延びました。この新しい素材の登場により、蓄光インキが印刷業界でも本格的に活用されるようになりました。当初は安全標識や時計の文字盤に使用されていましたが、現在ではデザインやセキュリティ分野でも利用されています。

現在の蓄光インキの使われ方

蓄光インキは、印刷業界で以下のような用途に利用されています:

  • 安全表示:避難経路や非常口の標識、暗所での視認性を高めるための案内板に使用されます。
  • 装飾用途:イベント用ポスターやパッケージデザインなど、夜間に目立たせたい印刷物に活用されます。
  • セキュリティ印刷:真贋判定のための特殊印刷として、通貨やチケット、重要文書の偽造防止に利用されます。
  • 玩具や娯楽:子供向けのおもちゃやゲーム、暗闇で光るデザインに使用されます。

蓄光インキの利点と課題

蓄光インキには以下の利点があります:

  • 視認性の向上:暗い環境でも文字やデザインが認識可能で、安全性を向上させます。
  • デザイン性:通常のインクにはないユニークな発光効果があり、装飾やブランド訴求力を高めます。
  • 環境負荷の軽減:電力を必要としない発光技術で、エネルギー消費を抑えることができます。

一方で、以下の課題も挙げられます:

  • コスト:蓄光材を使用するため、通常のインクよりも価格が高いです。
  • 印刷工程の制限:特殊な素材のため、印刷プロセスや乾燥条件に制約があります。
  • 発光強度の低下:長期間使用すると、蓄光材の効果が徐々に減少する可能性があります。

まとめ

蓄光インキは、光を蓄えて暗所で発光する特性を持つ特殊なインクで、安全性、デザイン性、機能性の向上に寄与する印刷技術です。その歴史は長く、技術の進化とともに用途が広がっています。現在では、印刷業界において多様な分野で活用されていますが、コストや印刷条件に関する課題もあります。今後も、技術革新によるさらなる性能向上やコスト削減が期待されています。

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