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印刷業界における中質紙とは?

印刷業界における中質紙(ふりがな:ちゅうしつし、英:Wood-Free Paper、仏:Papier Sans Bois)は、上質紙と更紙(普通紙)の中間に位置する紙質の印刷用紙を指します。中質紙は、適度な強度と軽量性を持ち、コストパフォーマンスに優れているため、雑誌やパンフレット、新聞などの印刷物に広く使用されています。木材パルプの割合や製造工程によって品質が決まるのが特徴です。


中質紙の概要

中質紙は、木材パルプを主原料とし、表面加工が少ない印刷用紙の一種です。上質紙に比べて漂白や加工が控えめであるため、コストを抑えつつ実用性を確保した紙質となっています。この紙は、適度な滑らかさと印刷適性を備えており、日常的な印刷用途に適しています。

  • 主な用途:雑誌、新聞、カタログ、チラシなど。
  • 特徴:軽量でありながら印刷適性が高く、インクの吸収性にも優れています。
  • 価格帯:上質紙よりも安価で、更紙よりも高価な中間的な価格帯です。

中質紙の歴史と由来

中質紙の登場は、印刷業界のコスト削減と生産性向上の要請に応じて発展しました。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、パルプ製造技術の進歩により、多様な紙質の製造が可能になりました。その結果、新聞や雑誌の需要増加に対応するため、軽量で安価な中質紙が誕生しました。

「中質紙」という名称は、日本では上質紙と更紙の中間的な品質を表すために名付けられたものです。一方、英語の「Wood-Free Paper」は、木材パルプからリグニン(木の繊維を結合する成分)を取り除いたことを意味します。これは、紙の白色度や保存性を向上させるための工程によるものです。

現在の中質紙の使われ方

現在、中質紙は幅広い印刷物に使用されています。具体的な用途は以下の通りです:

  • 雑誌:中質紙の軽量性とコスト効率の良さから、大量印刷に適しています。
  • 新聞:インク吸収性が高く、速乾性を求められる新聞印刷に最適です。
  • カタログ:適度な質感と印刷適性により、商品カタログやパンフレットに使用されます。
  • チラシ:安価で大量配布が可能なため、広告用チラシにも広く利用されています。

中質紙の特性と利点

中質紙には以下のような特性と利点があります:

  • 軽量性:軽いため、輸送コストや郵送コストを抑えることができます。
  • インク吸収性:インクを素早く吸収し、乾燥時間を短縮できます。
  • 環境負荷の軽減:漂白や加工が少ないため、製造時の環境負荷を軽減できます。
  • コストパフォーマンス:品質と価格のバランスが良く、大量印刷に適しています。

中質紙の課題と注意点

中質紙を使用する際には、以下の課題に注意が必要です:

  • 表面の粗さ:上質紙に比べて表面が滑らかではないため、細かい文字や画像の再現性が劣る場合があります。
  • 耐久性:酸性紙の場合、保存環境によっては劣化が早まる可能性があります。
  • 印刷色の鮮明度:インク吸収性が高いため、色がやや沈んで見えることがあります。
  • 長期保存の難しさ:保存性が上質紙に比べて低いため、長期間保管する印刷物には不向きです。

まとめ

中質紙は、印刷業界においてコスト効率が高く、実用性に優れた用紙として広く利用されています。その歴史は、印刷需要の増加と技術革新に伴い発展してきました。現代では雑誌や新聞などの大量印刷物に適した紙としての地位を確立しており、用途に応じた紙選びの中で重要な選択肢となっています。

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