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不動産業界における定期借地権とは?

不動産業界の分野における定期借地権(ていきしゃくちけん、Fixed-term Land Lease Right、Bail emphyt?otique ? dur?e d?termin?e)は、土地の貸主と借主が契約により一定期間土地を貸し借りする権利形態の一種で、契約満了後には借主が確実に土地を返還することが法律で定められた制度です。更新や延長がないことが特徴で、土地活用や住宅供給を目的として導入された借地権制度の一つです。



定期借地権の定義と契約構造

「定期借地権」とは、土地を一定期間借りるために設定される借地権で、契約期間が終了すると借主は土地を明け渡す義務を負う制度です。1992年(平成4年)に施行された「借地借家法」によって創設され、主に土地の有効活用と供給促進を目的としています。

定期借地権にはいくつかの種類があり、主なものは以下の通りです。

・一般定期借地権:契約期間50年以上で、建物の買取請求権や契約更新が認められない。

・事業用定期借地権:契約期間10年以上50年未満で、店舗や工場など事業用途に限定。

・建物譲渡特約付借地権:30年以上の契約で、契約終了時に建物を貸主に譲渡する特約がある。

これらはいずれも契約書に書面で明記されている必要があり、期間終了時には必ず借地権が終了する点が最大の特徴です。



定期借地権という言葉の由来と法制度の背景

「定期借地権」の語源は、「定期」=期間を定めた、「借地」=土地を借りる、「権」=法律上の権利を意味し、期間限定で設定される借地権という意味を持ちます。

日本における借地権制度は、1919年に旧借地法が制定されたことに始まり、戦後は借地人保護を優先した制度運用がなされてきました。しかし、借地契約が実質的に半永久的に続くという状況が土地所有者にとって大きな負担となり、土地の流通が停滞する一因となっていました。

こうした背景のもと、1992年に借地借家法が改正され、「定期借地権」が導入されました。これにより、期間満了による確実な土地返還が可能となり、土地所有者の資産活用に柔軟性が生まれるとともに、一定期間だけ土地を利用したい事業者や住宅取得者にとっても選択肢が広がる結果となりました。

とくにバブル崩壊後の経済再建期において、定期借地権付き住宅が注目され、土地購入費を抑えた低価格住宅として普及が進みました。



定期借地権の現代的な利用と課題

現代において、定期借地権は以下のようなシーンで活用されています。

・住宅分譲(定期借地権付き一戸建て・マンション)

・事業用地(コンビニ、商業施設、倉庫など)

・公共施設や学校用地の貸与

この制度により、土地を所有せずに安価に建物を所有するという新しい住宅取得モデルが実現できるため、特に都市部や再開発エリアでの導入が進んでいます。

一方で、定期借地権には以下のような課題も存在します。

・契約期間満了後の立ち退き義務:建物を解体・撤去しなければならず、費用負担が発生する。

・建物の資産価値の下落:借地期間終了が近づくにつれて、建物の流通性や資産評価が下がる。

・住宅ローンの制限:金融機関によっては、借地権付き住宅への融資条件が厳しい場合もある。

このため、契約内容の精査や借地期間終了後のライフプランに関する理解が不可欠となっています。また、不動産会社や司法書士による適切な説明と支援が重要視されています。

近年では、自治体や企業が所有する遊休地の有効活用策としても注目されており、地域の再活性化や空き地対策としても有効に機能しています。



まとめ

定期借地権とは、一定期間に限って土地を借りることができ、契約期間満了とともに確実に返還される借地権の一種であり、土地の有効活用と住宅・事業の多様化を促進する制度です。

その導入により、所有にこだわらない合理的な不動産利用が広がる一方で、契約終了時の対応やローン審査など、制度特有の留意点も存在します。

今後も定期借地権は、都市と地方双方における土地活用戦略の重要な選択肢として、さらに柔軟かつ多様な形で活用されていくことが期待されます。

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