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不動産業界における所有権保存登記とは?

不動産業界の分野における所有権保存登記(しょゆうけんほぞんとうき、Registration of Ownership Preservation、Enregistrement de la conservation de la propri?t?)は、まだ登記簿に所有権の登記がされていない不動産に対して、その所有者が最初に所有権を登記簿に記録するための手続きを指します。通常は新築建物や相続・無償取得などによって取得した場合に行われ、不動産の正式な権利者としての立場を公的に証明し、第三者への対抗力を得るために必要不可欠な登記です。



所有権保存登記の定義とその意義

所有権保存登記とは、登記簿上にまだ所有権の登記が存在しない不動産について、最初の所有者が自己の所有権を初めて登記する手続きです。

この登記は、特に以下のような状況で行われます。

・新築建物を建てた場合

・相続や遺贈によって不動産を取得した場合

・売買ではなく登記簿に所有者記録がない不動産を取得した場合

所有権保存登記を行うことで、その不動産の所有者として登記簿上に明確に記録され所有権を第三者に主張(対抗)できる法的効力を得ることが可能になります。

また、この登記をしておかないと、不動産の売買、抵当権の設定、貸借契約など、後続の登記行為が行えないため、実務上も必須の手続きです。



所有権保存登記の語源と制度の背景

「所有権保存登記」という用語は、「所有権」=物を支配する法的権利、「保存」=初めて確定的に登記簿に記録する行為、「登記」=公的な記録を意味しています。英語では “Registration of Ownership Preservation”、フランス語では “Enregistrement de la conservation de la propri?t?” と表現されます。

この制度の背景には、明治時代に導入された不動産登記制度があります。土地や建物の取引や所有を法的に保護し、第三者との紛争を未然に防ぐ目的で、日本では明治32年(1899年)に旧不動産登記法が施行されました。

その後、平成17年(2005年)に不動産登記法が全面改正され、登記の手続きの電子化・合理化が進められたことで、現代の登記制度が形成されました。

所有権保存登記はこの中でも特に基礎的な役割を持つ登記であり、登記簿上の甲区の第一順位に記載される登記であるため、「最初の所有者」としての地位が確定します。

たとえば、建物の新築後に行う「表題登記」の次に、所有者が行うのがこの保存登記となります。



所有権保存登記の実務と注意点

実務において所有権保存登記は、以下のような流れで行われます。

1. 表題登記(表示登記)を完了する:建物や土地の物理的な情報を法務局に登記

2. 保存登記の申請準備:必要書類(所有権取得証明書、住民票、評価証明書、登記原因証明情報など)を収集

3. 法務局への申請:登記申請書を提出し、登記官による審査を経て登記が完了

4. 登記識別情報(従来の権利証)が交付される:この情報は将来の売買や抵当権設定時に必要

所有権保存登記を行う際の注意点としては以下の点が挙げられます。

・申請者は所有者本人に限られ、他人が代理で申請するには委任状が必要

・登録免許税が課される(建物の場合は評価額の0.4%)

・保存登記をしないと、その不動産に関する後続の登記(売買や抵当権設定など)ができない

また、保存登記は司法書士に依頼するケースが多く、所有権の法的保全と将来の資産管理の観点からも非常に重要です。

特に住宅ローンを利用する場合、金融機関は保存登記の完了を条件とすることが一般的であり、ローン実行前にこの登記を完了させる必要があります。



まとめ

所有権保存登記とは、不動産の所有者が初めて自己の所有権を登記簿に記録する手続きであり、所有権の公的証明と第三者に対する対抗力を確保するために不可欠な登記です。

登記簿上に「所有者が誰か」という情報を最初に記載する制度として、すべての不動産取引の出発点となります。

今後も所有権保存登記は、不動産の権利保護と取引の安定化を実現するための基礎的かつ重要な制度として、その役割を果たし続けるでしょう。

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