不動産業界における公図とは?

不動産業界の分野における公図(こうず、Cadastral Map、Plan cadastral)は、登記所(法務局)に備え付けられている土地の位置関係や地番、形状などを示す図面であり、土地の境界や面積などを把握するための基礎的な資料です。不動産取引、相続、境界確認などの場面で頻繁に活用され、特に土地の売買や開発時には必要不可欠な図面とされています。登記情報の一部として提供され、図面証明書として取得可能です。



公図の定義とその法的位置づけ

公図とは、登記所が管理する土地の形状、位置関係、地番などを表した図面のことを指し、土地登記簿の補完資料として利用されます。

土地の個別情報(面積・所有者など)は登記簿に記載されますが、地番同士の位置関係や隣接状況、道路との接道状況を視覚的に確認するためには、公図が必要不可欠です。

公図に記載される主な情報は以下の通りです。

・土地の地番

・筆界(おおよその境界線)

・隣接地との関係

・道路や水路などの表示

ただし、公図はあくまで参考図であり、法的な境界を確定するものではありません。実際の境界確定や測量を必要とする場面では、現地測量図や筆界確認書、境界確認図などが併用されます。

公図は「地図に準ずる図面」とされ、不動産登記法第14条に基づいて整備されています。



公図の由来と制度の歴史

「公図」という名称は、「公」=公的な、「図」=図面を意味し、登記所が保有する公的な土地の図面を意味します。英語では “Cadastral Map”、フランス語では “Plan cadastral” と表され、世界的にも土地管理制度の中核資料とされています。

日本での公図の起源は明治時代にさかのぼり、「地租改正」によって全国的に土地の所有者・面積・位置などを調査・登録する制度が始まりました。

当時作成された地租改正図や旧土地台帳付属地図が、公図の元となっています。その後、不動産登記法の整備とともに公図制度が制度化され、登記簿と併せて保管されるようになりました。

しかし、これらの旧図面は測量精度が低く、誤差や変形も多いため、現在でも公図の精度は地域によってばらつきがあり、現地の実測との一致を保証するものではないという制限があります。

2005年以降、国土交通省と法務省は14条地図(精度の高い登記地図)の整備を進めており、近年では一部の都市部で精度の高い図面が整備されています。



公図の取得方法と実務上の活用

公図は、以下の方法で取得できます。

・法務局窓口での請求

・登記情報提供サービス(オンライン)

・登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)による取得

取得には、所在地番(地番)が必要で、1通ごとに数百円程度の手数料が発生します。

不動産実務における主な活用シーンは以下の通りです。

・土地売買時の対象地確認

・隣接地との境界トラブルの予備調査

・相続登記の前提調査

・建築計画時の配置図作成

公図は、土地の概要を簡易的に把握できる有効なツールですが、境界確定や面積の証明には適しません。

特に土地取引や開発案件では、公図だけで判断せず、土地家屋調査士による現地測量や筆界特定制度の活用など、より正確な情報の取得が必要です。

また、近年は一部地域で「地積測量図」とのデータ連携が進んでおり、将来的には公図の精度向上とデジタル化による活用の幅が広がると見込まれています。



まとめ

公図とは、登記所に保管されている土地の形状や位置関係、地番を示す公的な図面であり、不動産の調査・売買・相続・開発において基礎資料として広く活用されています。

歴史的背景や作図方法の関係から精度には限界があるものの、現場と登記情報の橋渡し役としての価値は非常に高く、今後も境界管理と地籍整備の中核として重要な役割を担っていくでしょう。

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