ビジプリ > 不動産業界用語辞典 > 【開発許可】

不動産業界における開発許可とは?

不動産業界の分野における開発許可(かいはつきょか、Development Permission、Autorisation d’am?nagement)とは、一定規模以上の土地において宅地造成や建築を行う際に、都市計画法に基づいて都道府県知事などの行政機関から事前に受けなければならない許可のことを指します。無秩序な市街化の防止と、公共施設や周辺環境との調和を確保することを目的としており、特に市街化調整区域や大規模開発では不可欠な手続きです。



開発許可の定義と制度の目的

開発許可とは、都市計画区域内で行う一定規模以上の土地の区画形質の変更に対して、都市計画法第29条に基づき行政から取得すべき許可です。

「開発行為」とは、宅地の造成、道路の新設、分譲地の造成などを含む行為を指し、これを無許可で行うと、違法開発として是正命令や工事中止命令の対象になります。

都市計画法における開発許可制度の主な目的は以下の3点です。

・無秩序な市街地の拡大(スプロール現象)の防止

・公共施設(道路、公園、水道等)との適正な整合

・周辺環境や自然環境との調和の確保

市街化区域内であっても一定の面積以上の開発行為には許可が必要となり、市街化調整区域では原則として開発行為は禁止されており、例外的な用途に限って厳格な審査の上で許可が出されます。



開発許可制度の語源と制度の歴史

「開発許可」という語は、「開発」=土地を宅地等に利用するために改変すること、「許可」=行政が法的に認めること、を意味し、土地利用を事前にチェックし秩序ある市街地形成を図る制度を表します。

この制度は、1968年の都市計画法制定時に導入されました。それ以前は、都市の拡大が需要任せで進められていたため、インフラ未整備の郊外住宅地が増え、上下水道・交通・教育施設などの不足による生活環境の悪化が深刻でした。

その反省を踏まえ、市街化区域と市街化調整区域の線引きによって都市の成長を制御し、区域区分に基づく土地利用と開発の可否を判断する仕組みが確立されました。

以降、開発許可制度は土地利用政策の中心的役割を担い、地方自治体の都市計画マスタープランや地区計画とも連動しながら、住環境の質と都市機能のバランスを実現する制度へと発展しています。

また、2000年代以降は農地保全、環境配慮、災害リスク対策など、現代的課題にも対応する法改正が続けられています。



開発許可の適用条件と不動産実務への影響

開発許可が必要となるかどうかは、都市計画区域の種別、土地の位置、開発面積、用途などの要素により判断されます。

一般的には以下のような基準で運用されます。

・市街化区域:1000㎡以上の開発行為で許可が必要(市町村により面積基準は異なる)

・市街化調整区域:原則として開発行為禁止。ただし、公益施設や既存集落内の住宅は例外的に許可対象

・非線引き区域:3000㎡以上の開発で許可対象(都道府県ごとに基準あり)

開発許可の申請には、開発行為計画書、配置図、地積図、給排水計画書などの詳細な書類が必要となり、開発審査会による審査や住民説明が求められる場合もあります。

不動産実務において、開発許可の有無は次のような影響を与えます。

・土地の評価価格に影響(許可が得られない土地は開発不可)

・分譲住宅や商業施設の開発スケジュールに大きく影響

・開発許可済土地は法的に担保された開発地として信用性が高い

・許可が得られなかった場合、建築確認も受けられない

そのため、不動産取引の現場では、土地購入前にその土地が市街化区域か調整区域か、開発許可を得られる可能性があるかを綿密に調査する必要があります。

また、許可取得後も工事完了検査・公共施設の引渡し・供用開始届といったフォローアップ手続きが必要です。



まとめ

開発許可とは、都市計画法に基づき一定規模以上の土地開発を行う際に必要な行政の許可であり、無秩序な市街化を防ぎ、持続可能な都市形成を実現するための制度です。

不動産業界では、開発許可の可否が土地の利用可能性、資産価値、事業の成否を大きく左右するため、極めて重要なプロセスとなります。

今後も開発許可制度は、環境保全・災害対策・コンパクトシティ政策など、都市づくりの中核的な法制度として発展していくでしょう。

▶不動産業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス