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不動産業界における建物図面とは?

不動産業界の分野における建物図面(たてものずめん、Building Drawing、Plan de b?timent)とは、登記された建物の位置や外形、敷地内での配置関係を正確に示した図面のことを指します。建物の新築登記や変更登記を行う際に作成・提出され、法務局で保管されます。不動産取引、境界確認、土地利用計画などにおいて重要な資料となり、土地家屋調査士が測量の上で作成する公的な図面として高い証明力を持ちます。



建物図面の定義と基本的な役割

建物図面とは、法務局に登記されている建物に関して、建物の外形寸法、方位、敷地内の位置関係などを平面図として表した図面です。

この図面は、建物の表示登記(新築や増築など)を行う際に必ず添付する必要があり、主に以下の要素が記載されます。

・建物の種類(居宅・倉庫など)

・構造(木造・鉄骨造など)

・建物の床面積

・敷地との位置関係および方位

建物図面は、単なる設計図とは異なり、公的登記資料としての証拠力を持つため、土地家屋調査士によって法令に則り作成されます。

特に、敷地の境界に近接して建物が建てられている場合などには、境界トラブルや建築可否判断の基準となるため、極めて重要な資料となります。



建物図面の語源と制度の歴史

「建物図面」という言葉は、「建物」=構造物、「図面」=図にして表した情報、という意味の組み合わせであり、英語では “Building Drawing”、フランス語では “Plan de b?timent” と表現されます。

この制度の始まりは、明治時代の登記制度導入まで遡ります。当時は地券制度や土地台帳が先行して導入されていましたが、建物の所在や面積、構造を明確に記録する必要性が高まり、建物表示登記制度とともに図面の添付が一般化しました。

昭和以降、都市化と建築技術の発展により、詳細かつ制度化された図面の作成が進み、現在では地積測量図・建物図面・各階平面図が不動産登記における三大図面とされています。

登記法改正に伴い、図面の電子申請対応やPDF形式での保管も可能となり、誰でも閲覧・取得できる公開資料としての性格も強まっています。

不動産鑑定、裁判資料、行政手続きなどでも、証拠性の高い公的図面として活用されています。



建物図面の実務と活用上の注意点

建物図面は、以下のような場面で実務的に利用されます。

・建物の新築登記・変更登記・滅失登記の際

・土地・建物一体での不動産売買の際の確認資料として

・金融機関の担保評価(抵当権設定時)

・行政における用途地域や建築制限の確認

・境界確定や隣地との距離確認

ただし、実務上は次のような点にも注意が必要です。

・登記されている図面が現況と異なる場合:建物増改築が無届けで行われていた場合、登記内容との不一致が生じている可能性があります。

・古い建物図面の精度:昭和初期以前の図面は測量精度が低く、縮尺も不明確な場合があるため、現況調査との照合が重要です。

・各階平面図との混同:建物図面は外形・配置図であり、部屋の間取り図ではないことに留意が必要です。

必要に応じて、土地家屋調査士や建築士による再測量・図面再作成を行うことも検討されます。

また、図面が未登記である場合、建物が存在しても法的に登記されていないこととなり、売買や担保設定が困難になるケースもあります。



まとめ

建物図面とは、建物の外形、配置、敷地内での位置関係を正確に示した図面であり、不動産登記制度の中核をなす法的資料です。

土地家屋調査士が作成し、法務局で保管されることで、建物の正確な状況把握とトラブル防止に寄与します。

今後も建物図面は、不動産流通の透明性・建築の合法性・資産価値の担保を支える基本資料として、不動産業界において欠かせない役割を果たし続けるでしょう。

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