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不動産業界における価格査定とは?

不動産業界の分野における価格査定(かかくさてい、Property Valuation、?valuation du prix immobilier)とは、土地や建物などの不動産に対して、その市場価値を適切に評価し、予想される売却価格または購入価値を見積もる行為を指します。価格査定は、売却準備や資産評価、相続、離婚による財産分与、融資審査など、さまざまな不動産取引の場面で活用される基本的かつ重要な業務です。



価格査定の定義と手法

価格査定とは、不動産の現時点での市場価値を判断するために、物件の特性・周辺環境・取引事例などの要素を基に評価価格を算出する行為です。

価格査定は、以下の2つの方法に大別されます。

・机上査定(簡易査定):
現地調査を行わず、地図・公示地価・過去の取引事例・路線価などから相場を基に算出する方法。主にスピード重視の初期判断に用いられます。

・訪問査定(実査定):
現地を訪問し、建物の劣化具合・立地の実情・日照・眺望・管理状況などを確認した上で行う査定。より精度の高い価格査定が可能です。

価格査定の算出には、主に次の3つのアプローチが使われます。

  • 取引事例比較法:近隣や類似物件の過去の取引事例を基に価格を推定。
  • 原価法:再建築費用から減価分を差し引いて価格を算定。
  • 収益還元法:将来的に得られる収益を現在価値に換算して評価。

これらの手法は、物件の種別(居住用か収益物件か)や目的に応じて使い分けられます。



価格査定の語源と制度の背景

「価格査定」という用語は、「価格」=金銭的価値、「査定」=評価・調査の意味を持ち、物件の価値を調べ、金額として算出するという意味合いを持ちます。

不動産の価格査定という行為は、日本において明治期の地租改正や土地制度の整備を背景に制度化され始め、昭和40年には「不動産の鑑定評価に関する法律」が制定され、公的・専門的な評価手続きの基盤が整いました。

当初は不動産鑑定士による評価が中心でしたが、昭和後半から平成以降の不動産市場の拡大により、一般の不動産仲介業者も査定を実施するようになりました。

2000年代以降はインターネットの普及により、一括査定サービスやAI査定も登場し、ユーザーが手軽に価格目安を把握できる時代に入りました。

とはいえ、実際の価格査定は依然として専門的知見と地域の経験値が求められ、信頼できる業者や適切な手法選定が大切です。



価格査定の実務での役割と注意点

価格査定は、不動産取引において非常に重要な判断基準を提供します。具体的な活用場面には以下のようなケースがあります。

・不動産売却の際の販売価格の設定:
売主が市場価格の妥当性を理解し、適切な売出価格を決定するために用います。

・相続や贈与の資産評価:
相続税申告や財産分割の場面では、不動産の時価評価として価格査定が必要になります。

・住宅ローン審査・不動産担保評価:
銀行や金融機関が不動産を担保にする際に、融資可否や金額の判断材料として査定価格が使われます。

・離婚時の財産分与:
不動産が共有名義の場合、公平な分割のために価格査定が行われます。

注意すべき点としては以下が挙げられます。

・査定価格は必ずしも成約価格ではない:
価格査定はあくまで見込み価格であり、市場の需要・競合・交渉力などによって変動します。

・過度な高額査定に注意:
媒介契約を取るために相場より高く提示されるケースもあり、複数社の査定を比較することが推奨されます。

・査定結果の透明性を確認:
どのような根拠や事例をもとに査定されたかを明示してもらうことが重要です。

これらを踏まえ、価格査定を依頼する際は、査定方法・基準・業者の信頼性を総合的に検討し、適切な判断材料として活用する必要があります。



まとめ

価格査定とは、不動産の適正価格を把握するために専門的な手法により行われる評価作業であり、売買・相続・融資などさまざまな場面で基準となる重要なプロセスです。

正確な価格査定を行うことで、不動産取引の透明性と信頼性が向上し、安心して意思決定を行うための基盤となります。

今後も市場の変化やテクノロジーの進化とともに、価格査定の精度と利便性は一層求められていくでしょう。

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