不動産業界における時価とは?

不動産業界の分野における時価(じか、Market Value、Valeur de march?)とは、一定の時点において自由な市場で成立するであろう取引価格のことを指します。時価は、不動産の売買や課税、担保評価、財務諸表の作成など、さまざまな場面で基準となる重要な概念であり、市場実勢に即した価格判断として用いられます。理論的には「正常価格」と同義とされることもありますが、文脈によって使い分けられることがあります。



時価の定義と不動産評価における役割

時価とは、その時点で通常の市場において、相当な期間にわたる広告活動の結果、取引当事者が自発的に合意するであろう金額と定義されます。

つまり、売り手と買い手がいずれも過度な制約や利害関係に縛られず、対等な条件の下で取引が成立する価格を指します。このため、強制的な売却や特殊事情による価格は時価には含まれません。

不動産の評価においては、「不動産鑑定評価基準」や国際的な評価基準(IVS)に基づき、時価を導出するために次のような手法が用いられます。

  • 取引事例比較法
  • 原価法
  • 収益還元法

これらを組み合わせ、市場の実勢に近い価格を合理的に算出し、それを「時価」として用いるのが一般的です。

また、時価は税務上も重要な基準であり、相続税・贈与税・固定資産税などの算定にも用いられます。



時価という言葉の由来と制度的背景

「時価」という語は、「時」=ある特定の時点、「価」=価格という意味を持ち、時点ごとの市場価値を表す言葉として使われています。

英語では “Market Value”、フランス語では “Valeur de march?” と訳され、いずれも国際的な評価概念として用いられています。

日本において時価という概念が本格的に制度化されたのは、昭和30年代の地価公示法や鑑定評価制度の整備が契機です。高度経済成長に伴う土地価格の急騰を背景に、公的な価格指標としての「時価」が求められたためです。

その後、1990年代以降の金融制度改革や会計基準の国際化に伴い、財務諸表上における資産評価としての時価も重要性を増しました。

現在では、地価公示価格や都道府県地価調査、路線価なども、時価に準じた価格として制度的に位置づけられています。



まとめ

時価とは、市場での実勢に即した不動産の価格を示す概念であり、評価・取引・税務・財務など多くの領域で重要な指標として活用されます。

変動する市場環境に対応するため、時価の把握には最新の情報と正確な評価手法が求められ、今後も不動産業界における基準概念として中心的な役割を担い続けるでしょう。

▶不動産業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス