不動産業界における相場とは?

不動産業界の分野における相場(そうば、Market Value Range、Fourchette de prix du march?)とは、ある特定の地域や時点において、不動産の取引が成立する可能性が高い価格帯のことを指します。これは過去の成約価格、売出価格、取引事例などの情報をもとに、平均的かつ妥当と考えられる価格水準を示したもので、購入者・売却者・不動産業者すべてにとって価格判断の目安となる重要な概念です。



相場の定義と不動産市場での役割

相場とは、市場においてある商品や資産が一般的にどの程度の価格で取引されているかという水準を示す概念です。不動産における相場は、土地や建物がどの程度の価格で売買・賃貸されるかを示す目安として機能します。

この価格水準は、以下のようなさまざまな要素をもとに形成されます。

  • 過去の成約価格(実勢価格)
  • 現在の売出価格
  • 周辺地域の需要と供給バランス
  • 公示価格や基準地価などの公的価格

また、不動産ポータルサイトや業界団体が提供する価格推移データ、レインズ(REINS)による成約事例などを活用し、地域や物件ごとに相場を把握することが一般化しています。

相場は明確な一つの価格を示すものではなく、「価格帯」や「レンジ」として存在するため、実際の売買価格はこの相場を基準に交渉されることが一般的です。



相場という言葉の由来と不動産での定着

「相場」という言葉は、江戸時代の米市場や金・銀などの取引において、「物の値段が相対的に決まる場所」を意味して使われてきた言葉です。「相」=相対する・比べる、「場」=取引の場、を組み合わせたもので、市中で自然に決まる価格という意味合いを持っています。

英語では “Market Value Range”、または単に “Market Price”、フランス語では “Fourchette de prix du march?” と表現されます。

不動産業界において「相場」という言葉が浸透したのは、不動産取引が一般化した昭和後期以降であり、バブル期以降に価格変動が激しくなったことにより、価格判断の指標としての「相場感覚」が求められるようになりました。

現在では、査定や販売戦略、価格交渉における前提として「地域の相場」が極めて重視されており、AIによる自動査定システムなどにもこの概念が取り入れられています。



まとめ

相場とは、不動産の価格に関する市場での一般的な水準や傾向を示す用語であり、価格の妥当性を判断する基準として、購入者・売主・不動産会社のすべてにとって重要な指標です。

一物一価ではない不動産の特性を前提に、個別の判断と市場全体の動きのバランスを取るための概念として、今後もあらゆる価格判断の場面で活用されていくでしょう。

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