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不動産業界における緊急連絡先とは?

不動産業界の分野における緊急連絡先(きんきゅうれんらくさき、Emergency Contact、Personne ? contacter en cas d’urgence)とは、賃貸借契約などにおいて、借主に万一の事態(病気・事故・死亡など)が発生した際に、貸主や管理会社が連絡を取るために指定される第三者の連絡先を指します。保証人とは異なり、契約上の義務や金銭的責任は発生しないのが一般的ですが、近年ではその役割が拡大しつつあり、不動産取引における重要な要素の一つとして認識されています。



緊急連絡先の定義とその役割

緊急連絡先とは、賃貸契約時に借主があらかじめ提出するもので、借主に連絡がつかない状況や緊急事態が発生した際に、貸主や管理会社が連絡を取る対象者を指します。

通常、この連絡先には親族や勤務先の上司、友人などが指定されますが、契約当事者ではないため法的責任は原則として発生しないという点が保証人との違いです。ただし、状況によっては身元確認や安否確認のために、鍵の開錠立ち合いなどを依頼されるケースもあります。

この制度は、高齢者や単身世帯の増加、孤独死の社会問題化といった背景の中で、万一の対応を迅速かつ円滑に行うための備えとして重要性が高まっています。



緊急連絡先という制度の歴史と背景

緊急連絡先という概念は、賃貸契約が複雑化し多様化していく中で、2000年代に入ってから徐々に制度化されてきました。もともと日本の不動産契約では連帯保証人が常識とされており、保証人が事実上の緊急連絡先を兼ねていました。

しかし、保証人制度の見直しや、保証会社の台頭により、保証と連絡を切り離す形が一般化し、代わりに緊急連絡先の記入が求められるようになりました。

とりわけ単身者や高齢者の入居が増える中で、突然の病気や死亡、長期不在などの事態に対応する体制の整備が課題となり、連絡先の明記がトラブル防止につながるとして導入が進められました。

現在では、国土交通省の契約書モデルにも緊急連絡先欄が設けられており、不動産契約書の標準項目の一つとして定着しています。



現代における緊急連絡先の取り扱い

今日の賃貸契約において、緊急連絡先の記入はほぼ必須とされ、記載がなければ契約自体が進まないことも珍しくありません。貸主や管理会社にとって、緊急連絡先の有無は入居者のリスク管理に直結するためです。

一方で、連絡先に記載された人物に対する事前確認の有無は事業者によって異なり、本人の了承なしに情報を記入されるケースもあることから、プライバシー保護とのバランスも課題となっています。

また、緊急連絡先と保証人を兼ねることが求められる場面も依然として存在しますが、法的責任の所在を明確にするため、近年では役割を明確に区別する動きが進んでいます。

加えて、緊急時に確実に連絡が取れる体制を維持するために、契約更新時には連絡先情報の再確認や更新が求められることもあります。



まとめ

緊急連絡先とは、借主の身に万が一の事態が生じた際に連絡を取るための第三者の連絡先であり、法的責任はないものの、賃貸契約における重要な安全網の一つです。

社会的背景の変化や単身世帯の増加により、その必要性はますます高まりつつあります。入居者の安全と貸主の安心を両立させる手段として、今後も不可欠な存在であり続けるでしょう。

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