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不動産業界における退去立会いとは?

不動産業界の分野における退去立会い(たいきょたちあい、Move-out Inspection、Inspection de sortie)とは、賃貸借契約終了時に借主が物件を退去する際、貸主や管理会社の担当者とともに物件内部の状態を確認する手続きを指します。室内の損傷や汚れ、設備の不具合などをチェックし、原状回復の範囲や修繕費用の負担区分を明確にすることで、退去後のトラブルを未然に防ぐ目的があります。



退去立会いの定義とその役割

退去立会いとは、賃貸物件の退去時に行われる最終的な現地確認の場であり、借主と貸主または管理会社の担当者が立ち会って、室内の損耗・破損状況などを確認します。

このプロセスは、敷金の精算や原状回復費用の請求根拠として非常に重要な意味を持ちます。退去立会い時には、壁紙や床の傷、設備の破損、清掃状況などを詳細にチェックし、写真撮影や記録を取ることが一般的です。

借主の故意・過失による損耗と、経年劣化や通常使用による損耗の線引きが重要であり、この点が後々のトラブルの原因にもなりやすいため、双方の確認と合意が不可欠です。



退去立会いの歴史と制度的背景

かつての賃貸住宅における退去時の対応は非制度的であり、敷金全額が償却されるなど貸主に有利な処理が行われることも少なくありませんでした。

しかし、借地借家法の整備や国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の発行により、借主保護と費用負担の明確化が推進され、退去立会いが制度化されていきました。

特に2004年に初版が公開されたガイドライン以降、退去時の確認項目・費用負担の原則・敷金の扱いなどが明文化され、不動産業者側も透明性ある説明義務を求められるようになりました。

この動きにより、退去立会いは単なる確認作業ではなく、契約履行の一部として重視されるようになったのです。



現代における退去立会いの実務と課題

今日では、退去立会いは賃貸契約終了時の標準業務として行われ、専門の原状回復業者やリフォーム担当者が同席することもあります。

立会いは、退去当日またはその直前に設定されるのが一般的で、確認後に費用見積もりを提示し、借主の同意を得た上で原状回復工事へと進みます。

一方で、立会い時に借主が費用負担に納得せず、後に紛争に発展するケースも少なくありません。そのため、書面による記録の徹底や写真の保存が求められます。

また、近年では遠隔地からの退去や高齢者の退去など、物理的な立会いが困難なケースも増えており、オンライン立会いや代理人対応の仕組みも導入され始めています。



まとめ

退去立会いとは、賃貸物件の明け渡し時に行う室内状態の確認作業であり、原状回復費用の精算や敷金の返還に深く関係します。

ガイドラインや制度整備によってその重要性は増し、借主・貸主双方にとって公正で透明な取引を実現する手段として欠かせないプロセスとなっています。

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