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不動産業界における不動産特定共同事業法とは?

不動産業界の分野における不動産特定共同事業法(ふどうさんとくていきょうどうじぎょうほう、Act on Specified Joint Real Estate Ventures、Loi sur les entreprises immobili?res communes sp?cifiques)とは、複数の投資家が共同で不動産事業に出資し、その収益や物件を共有する形式の事業(不動産小口化事業)を規律する法律です。少額投資による不動産運用を可能にしつつ、投資家保護と健全な事業運営の両立を目的として、1994年に施行されました。クラウドファンディング型不動産投資にも活用される現代的な法制度です。



不動産特定共同事業法の定義と対象

不動産特定共同事業法とは、複数の投資家が出資し合って不動産の取得・運用・管理を行い、その利益を分配する事業を法的に規制する法律です。

対象となるのは、不動産の売買・賃貸・運用などの事業に出資者を募り、収益分配などを行うスキームで、これには任意組合型、匿名組合型、信託型、ファンド型など多様な形態が含まれます。

この法律では、事業者に対する免許制・登録制の導入や、広告や契約に関する情報開示義務出資者保護のための業務規制が定められています。特に投資家が不動産リスクを負う形となるため、高度な法的整備が求められる分野です。



不動産特定共同事業法の歴史と法制度の背景

不動産特定共同事業法は、1994年(平成6年)に施行されました。制定の背景には、バブル崩壊後の不動産市場の流動性低下と、少額投資による新たな不動産投資市場の創出という政策的な意図がありました。

また、当時発生していた無許可の不動産投資詐欺や不透明な小口不動産事業による被害が社会問題化していたことも、法的規制の必要性を高めた要因となりました。

以降、2000年・2005年・2013年などに法改正が行われ、投資対象の多様化やITを活用した事業形態への対応が進みました。特に2017年の改正では、電子取引(不動産クラウドファンディング)に関する規制整備が行われ、オンラインによる小口投資モデルが急拡大する基盤が整えられました。



現代における不動産特定共同事業法の実務と課題

近年では、不動産特定共同事業法の活用により、1口数万円~数十万円の少額から不動産投資に参加できる仕組みが確立され、投資未経験層や若年層にも門戸が開かれています

代表的な実務形態としては、クラウドファンディング型の不動産投資(電子取引事業)や、商業施設・賃貸マンションの区分所有投資などが挙げられ、出資者は配当収益を得ながら資産形成が可能となっています。

一方で、出資元本の保証がないことや、不動産価値の下落・賃料減収・管理トラブルといった実物資産特有のリスクも存在するため、投資判断には注意が必要です。

また、法制度としては、監督官庁(国土交通省)の認可や事業報告義務、専門家による監査体制が義務付けられており、信頼性の高い事業者による運営が前提とされています。



まとめ

不動産特定共同事業法とは、不動産を共同で取得・運用・収益化するスキームに対し、投資家保護と適正な事業運営を目的として制定された法律です。

少額投資で不動産市場に参加できる魅力がある一方、リスク管理・信頼性の高い事業者選定・法制度への理解が、投資成功の鍵を握る重要な要素となります。

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