不動産業界におけるメゾネットとは?
不動産業界の分野におけるメゾネット(めぞねっと、Maisonette、Maisonette)とは、ひとつの住戸の内部に階段があり、複数のフロア(主に2層)で構成された間取りを持つ集合住宅の形式を指します。通常のフラットタイプ(ワンフロア型)と異なり、戸建て住宅のような感覚で生活できる点が特徴で、空間にメリハリがありプライバシーの確保や生活動線の分離がしやすい住環境として人気があります。
メゾネットの構造と特徴
メゾネットとは、集合住宅の一住戸の中に内部階段を備え、上下2層以上に分かれた居住スペースを有する間取りです。一般的には1階部分にリビング・ダイニング・キッチン、2階部分に寝室や水回りといった構成が多く見られます。
この形式には以下のような特徴があります。
- 上下階の空間分離により生活シーンのメリハリがつけやすい
- 階上・階下ともに同一世帯のため足音などの生活音トラブルが軽減される
- 子育て世帯や在宅ワーク世帯にとってプライベート空間の確保がしやすい
- 天井が高く開放感のある物件が多い
一方で、内部階段による床面積のロスや、高齢者や身体の不自由な方にとっては移動の負担があるなど、居住者のライフスタイルに応じた検討が必要とされます。
メゾネットの歴史と普及の背景
メゾネットの語源はフランス語の “maisonnette(小さな家)” に由来し、本来は戸建て住宅のような構造を集合住宅内に再現する設計を意味します。
日本においては1970年代以降、ファミリー層向けの集合住宅において空間の広がりと戸建て感覚を求めるニーズに応じて導入が始まりました。特に分譲マンションや高級賃貸住宅などでその形式が採用され、個性的な間取りを好む層や子育て世帯を中心に支持を集めてきました。
2000年代以降は、リノベーション物件やデザイナーズマンションでもメゾネットタイプが注目されるようになり、上下階を活かしたユニークな空間設計が住まいの選択肢を広げています。
現在では、都市部の駅近物件や低層マンションなどで「メゾネットタイプ」として明記されることも多く、物件の差別化や付加価値のアピールポイントとして不動産市場での存在感を高めています。
まとめ
メゾネットとは、ひとつの住戸内に上下階のある多層構造の間取りを持つ住宅であり、戸建て感覚の住み心地と空間の機能的分離を実現するスタイルです。
居住性やプライバシー性の高さから、家族世帯やデザイン性を重視する層に支持される間取り形式として、今後も根強い人気を維持すると考えられます。