不動産業界における鉄骨造とは?

不動産業界の分野における鉄骨造(てっこつづくり、Steel Frame Structure、Structure en acier)とは、建物の柱や梁など主要な構造部分に鋼材(鉄骨)を使用した建築構造を指します。耐震性・耐久性・施工の自由度が高いため、住宅から商業ビル、工場など幅広い建築物に用いられています。重量や部材の厚さにより「軽量鉄骨造(S造)」と「重量鉄骨造(重量S造)」に分類され、不動産価値や法定耐用年数にも影響を与える建築方式です。



鉄骨造の構造的な特徴と分類

鉄骨造は、鉄を主要な構造材とする建築方式で、木造や鉄筋コンクリート造(RC造)と並ぶ代表的な構造形式のひとつです。高い強度と耐震性を持ちながら、比較的軽量で加工しやすいという点が大きな特長です。

鉄骨造は部材の厚さによって以下の2種類に分類されます。

  • 軽量鉄骨造(LGS造):厚さ6mm未満の鋼材を使用。主に戸建住宅やアパートなど中低層建築向け。
  • 重量鉄骨造(重量S造):厚さ6mm以上の鋼材を使用。中高層の集合住宅・商業施設・ビルに多用。

鉄骨造は、スパン(柱と柱の間隔)を広く確保できるため、大空間設計や間取り変更の自由度に優れており、商業用不動産や賃貸住宅でも重宝されます。

また、現場施工の手間が少ないため、工期短縮や品質の均一化にもつながりやすい構造形式です。



鉄骨造の歴史と発展の背景

鉄骨造は19世紀の産業革命以降、欧米を中心に高層建築を可能にする技術として発展しました。日本では明治時代に洋館建築で導入され、大正・昭和初期には鉄筋コンクリート造と並ぶ近代建築の主流となっていきました。

戦後の高度経済成長期には、都市部での中高層建築の増加や、耐震性を重視する設計思想の拡大により、鉄骨造の利用が一気に拡大しました。とくに阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)以降、構造計算・接合部設計・耐火構造の見直しが進み、安全性が大きく向上しています。

近年では、工場でのプレファブ化や溶接技術の進歩により、高精度かつ短期間での施工が可能となり、オフィスビルや物流倉庫、商業施設など多様な分野で選ばれています。

また、法定耐用年数も軽量鉄骨造は19?27年、重量鉄骨造は34?47年とされており、税務上の資産評価や融資審査にも大きく関わる構造です。



まとめ

鉄骨造とは、鉄を構造体に使用する建築方式であり、高い耐震性と設計の自由度、施工性の高さを兼ね備えた建築構造です。

用途や建築規模に応じて軽量・重量の選択が可能であり、戸建住宅から大規模施設まで幅広く対応可能な構造として、今後も不動産市場における重要な位置を占め続けることが期待されます。

▶不動産業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス