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不動産業界における既存住宅売買瑕疵保険とは?

不動産業界の分野における既存住宅売買瑕疵保険(きぞんじゅうたくばいばいかしほけん、Existing Home Sale Defect Insurance、Assurance contre les vices cach?s pour la vente de logements existants)とは、中古住宅の売買において発見された隠れた欠陥(瑕疵)に対して補修費用などを補償する保険制度を指します。主に建物の構造耐力上の主要部分や雨水の侵入を防止する部分が対象であり、購入者の安心を確保し、中古住宅市場の活性化を促進する仕組みとして重要な役割を果たしています。



既存住宅売買瑕疵保険の概要と適用範囲

既存住宅売買瑕疵保険は、宅建業者や個人の売主が中古住宅を売却する際に、引き渡し後に判明した重大な瑕疵(かし)に対して、修理や補修費用などを補償する保険です。対象は主に以下の部位です。

  • 構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁・床・屋根など)
  • 雨水の侵入を防止する部分(外壁・屋根・開口部など)

保険の契約者は宅建業者(仲介業者)または個人売主ですが、保険金の受取人は住宅購入者(買主)となるのが特徴です。加入には事前の建物状況調査(インスペクション)が必要であり、調査結果によっては保険への加入ができない場合もあります。

また、瑕疵が発見された場合に売主が倒産・不在であっても、買主が直接保険会社に請求できる仕組みとなっており、トラブル時の安心感が確保されています。



制度の背景と普及の経緯

既存住宅売買瑕疵保険は、2009年に施行された「住宅瑕疵担保履行法」に続き、中古住宅市場の信頼性を向上させることを目的として整備された制度です。新築住宅にはすでに10年間の瑕疵保証制度が法律で義務付けられていましたが、中古住宅には同様の法的保証がなかったため、売買後のトラブルが多発していました。

この状況を改善するために、国土交通省が制度整備を進め、住宅瑕疵担保責任保険法人(例:住宅あんしん保証、ハウスジーメンなど)が保険商品を提供する形で運用が始まりました。

現在では、インスペクションを伴う取引の一環として定着しつつあり、瑕疵保険付き物件として販売されることで、買主からの信頼を得やすくなるという利点もあります。また、税制優遇や住宅ローンの金利優遇措置を受けられる条件となることもあるため、制度の利用価値は年々高まっています。



まとめ

既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅取引において見えない欠陥から買主を保護する保険制度であり、建物の信頼性と取引の安全性を高める重要な役割を担っています。

住宅の資産価値を守るとともに、中古住宅流通の活性化を後押しするこの制度は、今後も広く活用されることが期待されています。

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