ビジプリ > 不動産業界用語辞典 > 【専有部分】

不動産業界における専有部分とは?

不動産業界の分野における専有部分(せんゆうぶぶん、Exclusive Area、Partie privative)とは、マンションなどの区分所有建物において、各所有者が単独で使用・管理する権利を有する部分を指します。一般的には、居室・キッチン・トイレ・浴室など住戸の内部空間がこれに該当し、共用部分とは異なり、所有者の自由に使用・リフォームが可能です。登記上も明確に区分され、権利関係が確立されています。



専有部分の構造と範囲

専有部分とは、区分所有法に基づき、個人が単独で所有権を持つことができる建物の区画を指します。具体的には、マンションなどの集合住宅における各住戸が該当し、リビング、寝室、キッチン、浴室、トイレといった内部空間が含まれます。

一方で、ベランダ(バルコニー)や玄関扉、窓ガラスなどは建物の外部と接しているため、共用部分とみなされることが多く、所有者単独の判断で改修することはできません。

また、専有部分の範囲や構造は、管理規約や建物の設計図面、登記簿に基づいて定められ、この範囲の明確化が管理トラブルの防止に役立ちます。



専有部分の歴史と制度的背景

日本における専有部分の概念は、1962年に制定された「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」に端を発します。それ以前は、集合住宅における権利関係が曖昧で、権利の分離や共有のトラブルが多発していました。

区分所有法では、建物を専有部分と共用部分に明確に分けて定義し、所有者が単独で使用・改修できる部分と、共同で維持管理すべき部分を明確化しました。これにより、所有者間の権利関係の整理とトラブル防止が可能となり、マンション販売・取引の土台が築かれました。

また、バブル経済期を含む高度成長期以降の都市部人口集中により、集合住宅の供給が進む中で、専有部分の価値や管理ルールの重要性が一層認識されるようになりました。



専有部分と現在の運用実態

現在の不動産取引においては、専有部分の面積や仕様は、購入者・賃借人の物件選定の重要な指標となっています。登記簿には専有面積が記載されており、評価額やローン審査にも影響を及ぼします。

また、専有部分は所有者の自由度が高い反面、近隣住戸との関係や建物全体の安全性にも影響を及ぼすため、防音・火災・構造改修に関する規制が管理規約などに明記されているケースが多くあります。

さらに、スマートホーム化やリノベーションの需要増に伴い、専有部分の自由度と管理組合との調整のバランスが今後の課題とされ、所有者の意識や理解の深化が求められています。



まとめ

専有部分とは、マンションなどの区分所有建物における、所有者が単独で使用・管理できる住戸内の空間を指します。

区分所有法の制定により制度化され、現在では不動産取引、管理運営、生活利便において不可欠な構成要素として機能しています。

▶不動産業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス