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不動産業界における建替え決議とは?

不動産業界の分野における建替え決議(たてかえけつぎ、Rebuilding Resolution、R?solution de Reconstruction)とは、老朽化や災害によって使用継続が困難となったマンションなどの区分所有建物について、所有者全体の合意に基づき建物の解体と再建を決定するための法的手続きです。区分所有法により厳格な議決要件が定められており、建物の再生と資産価値の維持を図るための重要な制度とされています。



建替え決議の概要と法的要件

建替え決議とは、「区分所有法」第62条および63条に定められた制度で、区分所有建物の建替えを正式に決定するために必要な手続きを指します。特に建物が老朽化し、安全性や居住性の観点から存続が困難とされた場合に、住民全体で再建に向けた合意を形成するために実施されます。

決議が成立するには、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成という高いハードルが課せられており、これは単なる修繕ではなく建物の全面的な再構築という大きな意思決定であることを反映しています。さらに、反対者には一定の条件下で所有権の買い取り請求が認められるなど、合意形成を推進する措置も法的に整備されています。

報告書類や図面、概算費用などの提出を通じて、住民全体の理解と納得を得るための丁寧な情報共有と合意形成のプロセスが重視されます。



制度の成立背景と沿革

建替え決議の制度は、日本における高度経済成長期に大量に建てられた集合住宅が老朽化し、耐震性や設備の更新が困難になってきた社会的背景を受けて整備されました。とりわけ阪神・淡路大震災(1995年)後、建物の耐震基準と安全性の確保に対する関心が高まり、2002年の区分所有法改正により、建替えに関する手続きが明文化されました。

さらに、近年では少子高齢化や空き家問題の深刻化に伴い、既存住宅の再編と再開発の一環として建替え決議の実施が推進されています。行政機関や地方自治体による補助金や容積率緩和などの支援策も充実しており、実務面でも整備が進んでいます。

こうした制度整備の結果、住民主体の建替えプロジェクトが各地で進行するようになり、法制度と実務の両面で重要性を増しています。



まとめ

建替え決議とは、建物の老朽化や災害などにより継続使用が困難な場合に、所有者全体の合意をもって建替えを決定するための法的制度です。

高い賛成率を求められる一方で、資産価値の維持・再生や安全な居住環境の確保といった面から今後も注目が集まっており、都市の更新や再開発の鍵を握る制度としてその重要性はますます高まっています。

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