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不動産業界における地区計画とは?

不動産業界の分野における地区計画(ちくけいかく、District Plan、Plan de quartier)とは、市街地の良好な環境形成や秩序ある開発を実現するために、特定のエリアごとに建物の用途・形態・配置・高さなどのルールを定める都市計画制度です。住環境や商業環境、景観、防災、交通動線など地域ごとの特性に応じた細かなルールが導入でき、不動産開発や土地利用の調整において重要な指針となります。



地区計画の概要と内容

地区計画とは、「都市計画法」に基づく都市計画の一種で、一定の地区を対象に、建物や土地利用に関するきめ細かなルールを定める制度です。都市全体に適用される用途地域よりも、さらに地域特性に即した制限や誘導が可能であり、良好なまちづくりを支える柔軟な都市計画手段として広く用いられています。

地区計画には主に以下のような内容が含まれます。

  • 建築物の用途制限(例:住宅専用、商業複合可など)
  • 建物の高さ・規模・形態の制限
  • 道路や緑地の配置、公開空地の誘導
  • 防災・景観・歴史的景観の保全に関する方針

これらのルールにより、無秩序な開発を防ぎ、調和の取れた街並みや居住環境を形成することができます。事業者が新たな建物を建てる際は、地区計画の内容に適合しているかを確認する必要があります。



制度の歴史と発展経緯

地区計画の制度は、1980年の「都市計画法」改正によって導入されました。それまでは、都市全体に一律に適用される用途地域が主な土地利用調整手段でしたが、地域の個性やニーズに応じた都市整備が困難とされていました。

そこで、より小規模で地域主導型のまちづくりを実現するための柔軟な都市計画として地区計画が誕生し、市町村が主導して地域住民や事業者の意見を取り入れながら策定できる制度となりました。

導入以降、市街地再開発、防災まちづくり、景観形成、住環境保全など多目的に活用されており、2010年代以降は、空き地・空き家対策やコンパクトシティの形成にも連動する制度として注目されています。また、近年では脱炭素社会の実現に向けた都市計画としても、地区単位でのエネルギー効率や緑地配置に関する指針が組み込まれつつあります。



まとめ

地区計画とは、地域ごとの特性に応じて土地利用や建築行為を調整・誘導するための都市計画制度であり、まちづくりの方向性を具体的に示す重要な枠組みです。

不動産業界では、地区計画の内容を踏まえた開発・設計・評価が求められ、地域価値の向上と調和ある都市形成のために不可欠な制度として、今後も幅広く活用されていくことが期待されています。

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