不動産業界における保留地とは?
不動産業界の分野における保留地(ほりゅうち、Reserved Lot、Terrain r?serv?)とは、土地区画整理事業において換地(かんち)の対象とはならない土地であり、事業費用の一部をまかなうために造成・売却される予定の土地を指します。保留地は従前の地権者に返還される土地とは異なり、公共施設の整備や街区の配置後に生まれる新たな開発用地として、不動産開発や資産形成の重要な対象となっています。
保留地の定義と制度的な位置づけ
保留地は、「土地区画整理法」に基づいて行われる区画整理事業の中で、土地所有者から提供された土地の一部を公共用地(道路・公園など)や事業用地に充てた残りのうち、公共用地として使われない部分のうち、従前の地権者に還元されない土地のことを指します。
保留地は、以下の目的のために設けられます。
- 土地区画整理事業に要する費用の一部を土地売却で賄う
- 公共施設整備後の街区に残された整形地を再利用する
- 不動産開発用地として第三者に供給する
この土地は、通常は事業施行者(地方自治体や組合など)によって管理・売却され、住宅地や商業地、公共施設用地として市場に流通されることになります。保留地の処分益は、区画整理事業の財源として重要な位置を占めています。
制度の由来と発展の経緯
保留地の制度は、戦後の都市復興期に策定された「土地区画整理法」により法的枠組みが整えられ、土地を再配置しながら、公共インフラの整備と財源確保を両立させる仕組みとして考案されました。
特に高度経済成長期には、都市部の住宅需要増加に応じて、郊外の大規模宅地造成と保留地販売が活発に行われ、開発利益の一部を公共整備に還元するモデルとして機能しました。また、保留地の価格設定や販売方法についても、自治体や施行主体によって多様なスキームが整備されました。
近年では、市街地の更新や防災・減災まちづくりの文脈での活用も広がっており、再開発事業と連携した高度利用や民間事業者との連携によって、保留地の役割は単なる資金源から、地域価値創出の手段へと拡張しています。
まとめ
保留地とは、区画整理事業において事業費捻出のために残され、売却・開発される土地であり、不動産市場において一定の供給源として機能する重要な資産です。
施行主体の戦略や地域計画と連動しながら、公共性と市場性を兼ね備えた開発用地として活用されており、今後の持続可能な都市づくりにおいても不可欠な存在といえるでしょう。