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不動産業界におけるマンション建替え決議とは?

不動産業界の分野におけるマンション建替え決議(まんしょんたてかえけつぎ、Condominium Reconstruction Resolution、R?solution de reconstruction d’immeuble en copropri?t?)とは、老朽化したマンションを解体し新たに建設するために、区分所有者全体で行う合意形成のための正式な議決手続きを指します。区分所有法第62条に基づき、区分所有者および議決権のそれぞれ5分の4以上の賛成が必要であり、物理的・社会的な合意のハードルが高い重要な決議です。



マンション建替え決議の定義と仕組み

マンション建替え決議とは、既存マンションの老朽化、耐震性能不足、設備不良などの理由から、建物を取り壊して新たに建て直すことを目的とした管理組合総会の特別決議を指します。これは「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」の規定により、厳格な条件の下で成立します。

建替え決議には以下の条件が必要です。

  • 区分所有者の5分の4以上の賛成
  • 議決権総数の5分の4以上の賛成

この決議が成立すると、建替えに同意しない区分所有者に対しても、法的な売渡請求が可能となり、事業を進行させることができます。ただし、住民の合意形成、再建費用の負担、仮住まいの確保など、実際の運用には多くの課題が伴います。



歴史的背景と制度の変遷

マンション建替え決議の制度は、1962年に制定された区分所有法において初めて明文化されましたが、当初は「全員一致」が原則であり、実務上のハードルが非常に高い状況にありました。

1991年、区分所有法の改正により「5分の4以上の特別多数決」での建替えが可能となり、円滑な再建を目指した法整備が進みました。さらに2002年には「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(建替え円滑化法)」が施行され、合意形成支援や再建に関する手続きの簡略化が図られるようになりました。

こうした法制度の整備にもかかわらず、高齢化・経済格差・意識の違いなどが障害となり、実際の建替え実施件数は全国的に少数にとどまっています。近年では、耐震不足マンションや築40年以上の団地を対象に、建替えが社会的課題として注目されており、公的支援策の拡充も進められています。



まとめ

マンション建替え決議とは、老朽マンションの再建に向けて、区分所有者の特別多数によって行われる法的な合意手続きであり、安全性と資産価値の確保を目的とした重要なプロセスです。

不動産業界では、法的知識と住民調整能力を兼ね備えたコンサルティングが不可欠であり、マンション再生の新たな選択肢としての位置づけが今後さらに重要になると予想されます。

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