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不動産業界における成約済事例とは?

不動産業界の分野における成約済事例(せいやくずみじれい、Closed Transaction Case, Cas de transaction conclue)とは、既に売買または賃貸契約が成立した不動産物件の取引記録を指します。この情報は、市場動向の分析や査定価格の参考資料、顧客への提案資料として幅広く活用される重要なデータです。地域や物件の種類別に蓄積され、不動産業務の実務的な判断材料となります。



成約済事例の定義と特徴

成約済事例とは、過去に実際に取引が成立した不動産物件の情報で、主に取引価格、成約時期、物件の所在地や間取り、築年数、建物面積、土地面積などの項目が含まれます。これは、まだ売出し中の物件情報とは異なり、「実際に買主・借主が合意に至った価格と条件」が記録されている点で非常に実用的な資料です。

不動産会社では、この成約済事例をもとに査定額の根拠を示したり、売却希望者への提案資料としたりします。また、買主に対しても「この地域ではこの価格帯で取引されています」といった現実的な相場観を伝える際に活用されます。

最新かつ近隣の事例ほど参考価値が高く、営業担当者が収集・分析しやすいようにデータベース化されているケースも多く見られます。



言葉の由来と歴史的背景

「成約済事例」という言葉は、元々は業界内部で使われていた専門的な業務用語です。2000年代に入り不動産の透明性が求められるようになると、一般消費者向けにも成約データの一部が開示されるようになり、この用語が広く知られるようになりました。

特に国土交通省が運営する「不動産取引価格情報提供制度」や、各都道府県が公開する土地総合情報システムなどの整備により、成約価格が一部可視化されるようになり、「成約済事例」が客観的根拠として重要視される傾向が強まりました。

かつては不動産会社の属人的な経験に頼る部分も大きかった価格査定ですが、現在ではこうした成約済データの収集・蓄積によって、より合理的で透明な価格提示が可能となっています。



現在の活用事例と意味合い

現在では、多くの不動産会社が社内で「成約済事例ファイル」や「データベース」を構築しており、査定書の根拠資料として顧客に提示することが一般的になっています。また、ポータルサイトでも一部のエリアに限っては過去の成約価格情報を検索できるサービスも提供されており、消費者自身が相場感をつかみやすい環境が整いつつあります。

不動産投資の場面では、類似物件の成約事例を多数比較してキャッシュフロー予測を立てたり、相対評価を通じて収益性を測定したりするためにも用いられます。また、成約済事例は裁判や税務の現場でも、時価を推定する重要な材料とされます。

その一方で、個人情報保護の観点から詳細な住所や当事者名を公開することはできず、あくまでも統計的かつ参考的な資料として扱われる点にも注意が必要です。



まとめ

成約済事例は、実際の不動産取引に基づく価格と条件を知るための有力な情報源であり、査定・提案・相場分析において不可欠な存在です。業界の透明性向上や顧客への説得力ある説明のためにも、今後ますますその重要性は高まっていくと考えられます。

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