ビジプリ > 不動産業界用語辞典 > 【不動産投資信託】

不動産業界における不動産投資信託とは?

不動産業界の分野における不動産投資信託(ふどうさんとうししんたく、Real Estate Investment Trust, Fonds de placement immobilier)とは、多数の投資家から資金を集め、その資金で収益性の高い不動産(オフィスビル、商業施設、住宅、物流施設など)を取得・運用し、得られた賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。証券取引所に上場されるJ-REITを中心に、少額から投資可能な不動産運用手段として人気を集めています。



不動産投資信託の定義と仕組み

不動産投資信託とは、投資家が信託を通じて間接的に不動産に投資する仕組みであり、英語では「REIT(リート)」と呼ばれます。日本では「J-REIT(ジェイリート)」という名称で、証券取引所に上場されるタイプが主流です。投資信託会社(資産運用会社)が運用を担当し、賃料収入や売買差益などの収益を原資として、投資家に定期的な配当を行います。

個人投資家は1口数万円からの少額でプロが運用する大規模不動産への投資が可能であり、不動産市場への間接的な参入手段として注目されています。さらにREITは株式と同様に売買でき、流動性が高いという特徴も持っています。



言葉の由来と制度導入の経緯

不動産投資信託の概念は、1960年にアメリカで導入された「REIT(Real Estate Investment Trust)」に端を発します。これにより一般の投資家も大規模な不動産に間接投資できる制度が整備され、その後カナダ、オーストラリア、シンガポールなど世界中に広がりました。

日本では2000年11月に「投資信託及び投資法人に関する法律」が改正され、2001年にJ-REIT市場が創設されました。初の上場は日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人の2銘柄であり、その後オフィス、住宅、物流、商業施設、ホテルなど多様な資産クラスが対象となり、市場は拡大を続けています。



現在の使われ方と不動産市場への影響

今日の不動産投資信託は、機関投資家や年金基金のみならず、個人の資産形成手段としても広く利用されており、証券会社やネット証券を通じて手軽に購入可能です。J-REIT市場には複数の銘柄が上場しており、それぞれのポートフォリオや運用方針、分配金利回りが公開されているため、投資家は好みに応じて選択できます。

また、REITの成長は不動産市場の資金流動性を高め、大規模開発や都市再開発プロジェクトを支える重要な資金調達手段となっています。特にオフィスビルや物流倉庫など、個人では直接投資しにくい資産へのアクセスを可能にし、市場の透明性や効率性向上にも寄与しています。

一方で、REITは株式市場と連動する側面もあるため、景気後退や金利上昇局面では価格変動リスクも伴います。そのため、投資家は分配金利回りや含み益だけでなく、保有物件の所在地・用途、借入比率(LTV)、スポンサー企業の信頼性など多面的に判断することが重要です。



まとめ

不動産投資信託は、不動産に間接的かつ分散的に投資することができる金融商品であり、資産形成やインカムゲイン獲得手段として広く普及しています。J-REIT市場の拡大とともに、不動産の証券化が進む中、投資家・運用会社・不動産市場が相互に連携することで、都市と経済の健全な発展に寄与する存在となっています。

▶不動産業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス