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不動産業界における10年保証制度とは?

不動産業界の分野における10年保証制度(じゅうねんほしょうせいど、10-Year Housing Warranty System, Garantie d?cennale pour les logements)とは、新築住宅の引き渡し後、構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を防止する部分に関して、売主または建築業者が10年間の瑕疵(かし)担保責任を負うことを義務付けた制度です。住宅取得者の安心と品質確保を目的とし、保険加入を通じて補修費用の支払いも保証される仕組みが整備されています。



10年保証制度の定義と対象範囲

10年保証制度とは、住宅の引き渡しから10年間にわたって、構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁など)や、雨水の侵入を防止する部分(屋根・外壁・開口部など)について、瑕疵が発見された場合に無償で修補する責任を売主または施工業者が負うという法定の保証制度です。

この制度は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により定められており、新築住宅の売買契約や請負契約に必ず適用されます。また、事業者は瑕疵担保責任を履行するために、保険加入または供託のいずれかで資力確保措置を講じる義務があります。



言葉の由来と制度導入の背景

10年保証制度の導入は、1990年代の住宅業界で発生した欠陥住宅問題を受けて、住宅購入者の保護を強化する必要性が高まったことに端を発します。とりわけ、基礎や外壁の構造的欠陥により、安全性や居住性に重大な支障が生じる事例が相次いだことが社会問題化しました。

これを受けて2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では、新築住宅に対して最低10年間の瑕疵担保責任を売主に義務付けるとともに、事業者が倒産した場合でも修補費用が補填されるよう、住宅瑕疵担保責任保険の加入が義務化されました(2009年以降)。



現在の使われ方と不動産実務における意義

現在、10年保証制度は新築一戸建てや新築マンションの売買において不可欠な制度として運用されており、買主が安心して住宅を取得するための法的・経済的なセーフティネットとなっています。特に以下のような状況において効果を発揮します。

  • 引き渡し後の基礎沈下や壁の亀裂など構造的な欠陥が判明した場合
  • 屋根や外壁から雨漏りが生じた場合
  • 売主が修補に応じず倒産していた場合でも、保険により補償が受けられる

また、事業者側は住宅瑕疵担保責任保険法人(例:住宅保証機構、住宅あんしん保証など)と契約し、完成後に検査を受けることで保険加入が認められます。これは、建築の品質向上を促す制度的プレッシャーともなっており、不動産流通の信頼性確保にも寄与しています。

一方で、10年保証の対象外となる内装・設備機器や外構部分などについては、独自のアフター保証や延長保証を設けている事業者も多く、買主にとっては保証内容の確認が重要となります。



まとめ

10年保証制度は、新築住宅の構造や防水性能に関する瑕疵を10年間保証する法的制度であり、住宅購入者の安心と信頼を支える重要な仕組みです。不動産業者・建築業者・保険機関が連携することで、高品質な住宅供給とトラブル時の適切な対応体制が整備されており、今後も安心・安全な住宅市場の維持に不可欠な役割を果たしていくと考えられます。

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