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不動産業界における24時間換気とは?

不動産業界の分野における24時間換気(にじゅうよじかんかんき、24-Hour Ventilation, Ventilation 24 heures sur 24)とは、住宅や建物の室内空気を常時入れ替える換気システムを指し、外気を取り入れて室内の汚れた空気を自動的に排出することで、健康的な空気環境を維持するための仕組みです。特にシックハウス症候群の対策として注目され、2003年以降の新築住宅では設置が義務づけられている重要な設備です。



24時間換気の定義と機能

24時間換気とは、建物内の空気を1日中絶えず入れ替えるための換気方法であり、主に室内の空気汚染物質や湿気、二酸化炭素などの排出を目的としています。給気口から新鮮な空気を取り入れ、排気口や換気扇などを通じて屋外に排出する仕組みで、住環境の衛生性や快適性を高めます。

このシステムには、機械排気+自然給気の「第三種換気方式」、機械給気+機械排気の「第一種換気方式」、自然換気と機械換気を併用する「第二種換気方式」などがあり、建物の構造や用途に応じて採用されます。住宅では第三種が一般的です。



言葉の由来と制度化の背景

24時間換気という概念が広く認知されるようになった背景には、1990年代後半に社会問題化したシックハウス症候群の存在があります。住宅の高気密化が進む中、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)が室内に滞留し、健康被害を引き起こす事例が多発しました。

これを受け、2003年の建築基準法改正により、ホルムアルデヒドを発散する建材を使用する住宅には「換気回数0.5回/h(1時間あたり室内空気の半分を入れ替える)」以上の24時間換気設備の設置が義務づけられました。以降、新築住宅には標準装備される設備となっています。



現在の使われ方と実務的な意義

現在、24時間換気は新築戸建て住宅・マンションをはじめ、多くの商業施設やオフィスビルにも導入されており、以下のような役割を果たしています。

  • シックハウス症候群やアレルギーの予防
  • 室内の結露やカビの発生防止
  • 新型感染症対策における換気強化
  • 快適な湿度・温度環境の維持

不動産の販売や賃貸においても、「24時間換気システム付き」「常時換気対応」といった記載は物件の付加価値を高める要素とされています。特に都市部の高気密高断熱住宅では、空気のよどみやカビ発生を防ぐためにも不可欠な設備と位置づけられています。

一方で、入居者が電源を切ってしまったり、フィルターの清掃を怠ることで十分な効果が得られないケースもあるため、設備の正しい理解と定期的なメンテナンスが重要です。物件管理者や不動産事業者は、入居者への説明と注意喚起を行うことが求められます。



まとめ

24時間換気は、住宅内の空気環境を清潔で健康的に保つための重要なシステムであり、特に高気密住宅が増加する現代において不可欠な設備です。不動産取引や建築実務においても、物件の品質や住環境を評価する上での基準の一つとなっており、今後も住宅性能の指標として広く活用され続けると考えられます。

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