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不動産業界における役所検査とは?

不動産業界の分野における役所検査(やくしょけんさ、Government Inspection, Inspection municipale)とは、建築物の新築や増改築、用途変更などにおいて、建築基準法などの関連法令に適合しているかどうかを確認するために、所轄の行政機関が実施する法的な検査手続きのことを指します。建物の完成後、建築主事や指定確認検査機関が現場に出向いて実地調査を行い、適合と判断されれば「検査済証」が交付されます。



役所検査の定義とその流れ

役所検査とは、建築確認申請を受けた建築計画に基づいて、建物が法律に適合して施工されたかを確認するために行われる法定検査です。特に新築時には、建物の完成後に「完了検査」と呼ばれる検査が実施され、その結果、適合していれば「検査済証」が発行されます。この検査は以下のような流れで進められます。

  • 建築物の完成後に、建築主が役所(建築主事)または指定確認検査機関へ完了検査の申請を提出
  • 検査官が現地に赴き、設計図書や法令に適合しているかを確認
  • 検査に合格すれば「検査済証」が交付される

この検査済証の交付を受けていない建物は、法的に使用できない扱いとなり、金融機関の融資審査や不動産取引に大きな影響を及ぼします。



言葉の由来と制度の背景

役所検査という言葉は、建築基準法に基づく行政検査を口語的に表現した業界用語であり、正式には「完了検査」または「中間検査」と呼ばれます。制度としての起源は1950年に制定された建築基準法にあり、建物の安全性、耐震性、防火性能、敷地条件などを担保するための監視制度として導入されました。

とりわけ1995年の阪神・淡路大震災を契機に、建物の構造的安全性や施工の透明性が社会的に強く求められるようになり、2000年には「中間検査制度」が導入され、一部の建築物においては施工途中でも検査を行う仕組みが制度化されました。

さらに、2005年の耐震偽装事件(いわゆる姉歯事件)以降、指定確認検査機関や行政によるチェック体制の重要性が再認識され、役所検査の実施率や信頼性を高める取り組みが強化されました。



現在の使われ方と不動産取引への影響

現在、役所検査は建物の新築だけでなく、特定用途変更、増改築、または特定建築物の大規模修繕にも適用されることがあり、以下のような実務上の意義を持ちます。

  • 検査済証が交付されているかどうかは、不動産売買や賃貸契約の際に買主・借主が安心できるかの重要な判断材料
  • 住宅ローンや事業用融資の審査で、検査済証の提出が必要とされるケースが多い
  • 既存不適格建築物で検査済証がない場合、再建築や増改築の制限がかかる可能性がある

一方で、特に1970?90年代に建てられた中小規模の建物では、完了検査の申請自体が行われずに建物が使用開始されている例も多く、現在では「検査済証がない」ことが不動産売却や融資審査で障害となるケースがあります。このような物件に関しては、役所にて「完了検査未了」であることの証明を取得したり、追加で確認申請を行うなどの対処が必要となる場合があります。

また、自治体によっては建築確認・完了検査の記録を閲覧できる台帳を公開しており、不動産取引に先立って役所調査と併せて情報確認が行われます。



まとめ

役所検査は、建築物が法令に適合して施工されたかどうかを確認する行政上の重要なプロセスであり、検査済証の有無は不動産の安全性・適法性を示す信頼性の指標です。取引の透明性を確保し、安心して活用できる不動産市場の整備にとって不可欠な制度であると言えます。

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