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不動産業界におけるワンプライス販売とは?

不動産業界の分野におけるワンプライス販売(わんぷらいすはんばい、One-Price Sales, Vente ? prix fixe)とは、販売価格があらかじめ明示され、交渉や値引きなしでその金額で購入できる販売方式のことを指します。価格の透明性や購入者の安心感を高める販売手法として、新築戸建て分譲や建売住宅の販売現場などで利用されることが増えています。



ワンプライス販売の定義と仕組み

ワンプライス販売とは、販売側があらかじめ設定した金額を提示し、その金額で購入の可否を判断する方式で、購入者との間で価格交渉を行わない点が最大の特徴です。不動産業界では主に建売住宅やマンション分譲の現場において用いられます。

一般的な不動産売買では、価格交渉の余地を残した「価格応相談」や「指値(さしね)」が前提となるケースが多く見られますが、ワンプライス販売では、交渉を前提としないことで商談プロセスを簡潔にし、価格設定の公平性を担保することができます。

また、契約締結の迅速化や営業工数の削減、価格に対する納得感の向上など、多くのメリットが見込まれるため、大手分譲会社やネット不動産販売サービスでも導入が進められています。



言葉の由来と登場の背景

ワンプライスという言葉は、小売業界において「単一価格」で販売する意味合いで使われてきた用語で、もともとはファッションや外食産業などで価格交渉なしでの購入スタイルを表す言葉でした。これが不動産業界においても、「価格交渉なしで買える住宅」として転用されたのがワンプライス販売の起源です。

バブル経済崩壊後の1990年代、不動産価格の下落と市場の混乱の中で、透明性の高い価格表示とシンプルな販売方式への需要が高まりました。特にインターネットでの物件情報検索が一般化した2000年代以降、購入者が複数物件を比較検討する際の明確な指標として、ワンプライス方式の導入が注目され始めました。

さらに、仲介を介さずに販売する「直販モデル」の拡大や、業界全体でのコンプライアンス意識の高まりも後押しし、現在では新築建売住宅を中心に広く認知されている販売形態となっています。



現在の活用事例と実務上の留意点

現在、ワンプライス販売は次のような形で活用されています。

  • 建売住宅の広告に「価格固定・交渉不要」と明示する
  • マンションの価格表を一括公開し、各戸ごとの販売価格を事前提示
  • ネット完結型の不動産取引プラットフォームで、価格交渉を廃止したモデル

この販売方法の利点は、買主にとって「他の購入者と不公平な価格交渉がない」という安心感を得られること、売主にとっては価格戦略に基づいた収益計画が立てやすいことです。物件価格と仕様、立地などのバランスを加味して設定されるため、購買者は「値引きありき」で考えるのではなく、価格の妥当性を検討材料とすることが期待されます。

一方で、価格交渉を前提とする顧客層にとっては選択肢から外れることがあるため、事前に「価格固定」の旨を明確に伝える必要があります。また、相場との乖離があると価格設定に対する不信感を抱かせるリスクもあるため、適正価格での設定が不可欠です。

特に中古住宅や注文住宅のように条件や仕様が一品一様となる取引では、ワンプライス販売が難しい場面もあるため、商品特性との整合性を図ることが重要です。



まとめ

ワンプライス販売は、不動産売買における価格交渉の煩雑さを省き、透明で公平な取引を実現する販売手法です。特に新築建売住宅や分譲マンションにおいて、その導入は年々進んでおり、購入者と売主双方にとって効率的かつ安心できる売買モデルのひとつとして定着しつつあります。

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