ビジプリ > 不動産業界用語辞典 > 【屋根点検】

不動産業界における屋根点検とは?

不動産業界の分野における屋根点検(やねてんけん、Roof Inspection, Inspection de toiture)とは、建物の屋根部分に生じる破損、劣化、雨漏りの予兆などを確認するために行う定期的または臨時のチェック作業を指します。屋根の健全性を保つことは建物全体の耐久性と資産価値の維持につながり、特に売買やリフォーム時には重要な査定項目の一つとされています。



屋根点検の定義と基本的な内容

屋根点検とは、建物の屋根部分に生じる損傷、ズレ、雨水の侵入経路、素材の劣化状態などを専門家が調査し、補修の必要性を評価する行為です。点検の対象となるのは、瓦屋根、スレート屋根、金属屋根など多岐にわたり、それぞれの構造と素材に応じた点検項目があります。

点検では、以下の要素が重点的に確認されます。瓦や屋根材の割れやズレ、棟や谷の金物の腐食、コーキングやシーリングの劣化、雨樋の詰まり・破損、さらには防水シートの劣化具合などが含まれます。点検方法は、はしごを用いた目視点検のほか、ドローンによる空撮点検や赤外線カメラによる非破壊検査も行われています。



言葉の由来と制度的背景

屋根点検という言葉は、昭和後期の住宅需要拡大とともに一般化しましたが、屋根そのものに対する点検の重要性が法的・制度的に注目されたのは1995年の阪神淡路大震災以降といわれています。この震災を契機に、耐震性や劣化への関心が高まり、建物全体の定期的な点検の中で「屋根」に対する点検項目の明記が進められました。

また、2006年施行の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」においても、屋根の点検・メンテナンスは住宅性能評価の一環として組み込まれており、住宅管理の義務として建築主・所有者に対して定期的な確認が推奨されています。



現在の使われ方と実務上の注意点

現在、不動産売買、特に中古住宅の査定時には屋根点検が欠かせない工程とされており、外観評価だけでなく、建物全体の保守状態を判断する重要な指標とされています。点検の結果によって、売却価格に影響が出たり、修繕履歴が物件価値の裏付け資料となるケースも少なくありません。

また、賃貸住宅やマンションなどの集合住宅においても、管理組合やオーナーが定期的に実施することで、雨漏りリスクや入居者からのクレームを未然に防止できます。特に近年では台風や大雨といった自然災害の増加に伴い、事前点検の必要性が高まっています。

実務上の注意点としては、点検の頻度(一般的に5?10年に一度)や専門業者の選定、点検結果に基づく報告書の取得などが挙げられます。とくに点検後の「経年劣化」「施工不良」「外的要因」など、損傷の原因を明確にすることが、補償や保険請求にも関係するため重要です。



まとめ

屋根点検は、建物の長寿命化と資産価値維持のために欠かせない予防保全型の管理手段です。定期的なチェックを通じて、重大な劣化や損傷を未然に防ぎ、売買時や入居者対応時の信頼性を高める役割を担います。専門家による適切な診断と、記録の保管が、将来的なトラブル回避にもつながります。

▶不動産業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス