不動産業界におけるZEHとは?

不動産業界の分野におけるZEH(ぜっち、Net Zero Energy House, Maison ? ?nergie Z?ro)とは、住宅で消費する年間の一次エネルギー量を、省エネと創エネの組み合わせにより概ねゼロにすることを目指した住宅のことを指します。高断熱性能・高効率設備・太陽光発電などを用いた省エネルギー住宅の代表例として、国のエネルギー政策や補助金制度とも連動する形で注目されています。



ZEHの定義と基本構成

ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、住宅で消費される一次エネルギー(冷暖房、給湯、照明、換気)を効率的に削減したうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入し、年間のエネルギー収支を実質的にゼロ以下にする住宅を意味します。

ZEHの主な構成要素には、①外皮(壁・屋根・床・窓など)の高断熱化、②高効率設備(省エネ給湯器やLED照明など)、③太陽光発電や蓄電池などの創エネ機器の設置が含まれます。これにより、従来の住宅よりも光熱費を抑えつつ、環境負荷を軽減できることが最大の特徴です。



言葉の由来と制度的背景

ZEHという言葉は、2009年にアメリカで初めて提唱され、日本では2014年以降に経済産業省が主導する「ZEHロードマップ」によって本格的に導入されました。住宅のエネルギー消費削減と地球温暖化対策を両立させる手段として、国が普及を強力に推進しています。

2016年度からは「ZEH支援事業」によって、ZEH住宅を建築する個人や事業者に対し補助金が交付されるようになり、これが普及の後押しとなりました。特にハウスメーカー各社は「ZEHビルダー」として登録を行い、ZEH仕様の住宅販売を戦略的に展開しています。



現在の使われ方と不動産実務への影響

近年、ZEHは新築住宅市場を中心に急速に普及しており、とりわけ注文住宅や建売住宅での採用例が増加しています。住宅性能表示制度においても、ZEHの評価項目が取り入れられるなど、不動産評価の新たな指標としての役割も強まっています。

また、電気代高騰や環境意識の高まりにより、購入者の間でもZEHの認知度が上昇しており、住宅購入時の比較要素としてZEH対応の有無が問われる場面も増えています。不動産仲介や販売の現場でも、ZEH対応物件は「省エネ」「光熱費削減」「資産価値の維持」という観点から注目度が高く、成約率の向上にも貢献する傾向があります。

さらに、2025年以降は建築基準法の改正に伴い、住宅の省エネ性能に対する義務化の動きも見られており、今後ZEHは新築住宅の標準仕様として定着することが予想されます。リフォーム市場でも、既存住宅をZEHレベルに改修する「ZEHリノベ」への関心が高まっています。



まとめ

ZEHは、省エネルギー性と快適性、環境性能を兼ね備えた次世代住宅の象徴として位置づけられており、住宅の価値や評価にも大きな影響を与えています。今後の不動産業界において、ZEH対応は競争力を左右する重要なキーワードとなるでしょう。

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