不動産業界におけるEPCとは?

不動産業界の分野におけるEPC(いーぴーしー、Engineering, Procurement and Construction, Ing?nierie, Approvisionnement et Construction)とは、建設プロジェクトにおいて設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の3工程を一括で請け負う契約方式またはその業務体制を指します。発注者の負担を軽減しつつ、プロジェクトの品質やスケジュールを管理しやすくする仕組みとして、特に大規模な開発案件や再開発プロジェクトなどで用いられています。



EPCの基本概念と構成要素

EPCとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の略称であり、発注者(開発事業者や不動産オーナーなど)が1つの契約でこれらの業務をすべて請け負わせる方式です。発注者はEPC契約を締結することで、個別に設計会社・建設会社・資材調達先を管理する必要がなくなり、窓口が一本化されるメリットがあります。

この方式ではEPCコントラクター(請負者)が責任を持って工程を管理し、仕様や品質・納期などの契約条件を達成する義務を負います。発注者は完成物を受け取る段階まで、業務の詳細には直接関与せずに済むため、リスクの軽減やコストの予測可能性向上が図られます。



言葉の由来と導入の背景

EPCという用語は、もともとプラント建設やインフラ整備の分野で用いられてきた工事契約の一形態です。1990年代以降、グローバルな建設プロジェクトの複雑化に伴い、一括請負方式として広まりました。日本では、都市再開発や大型商業施設の開発、ホテル建設、エネルギー関連施設の建設などにおいて、2000年代からEPC方式の導入が進んでいます。

当初は主に官民連携(PPP)プロジェクトやPFI(Private Finance Initiative)などでの導入が中心でしたが、近年では民間の開発事業においても採用例が増えています。



現在の使われ方と業界内での位置づけ

現在の不動産業界においてEPC方式は、総合的なマネジメント力を持つゼネコンやデベロッパーによって積極的に活用されています。EPC契約を採用することで、設計ミスや資材遅延、施工トラブルといった問題をトータルで管理できるため、品質と工期の確保がしやすくなります。

また、発注者にとってはプロジェクト全体の責任の所在が明確になることや、調整業務が簡略化されるという利点もあります。一方で、契約前に仕様を詳細に詰める必要があるため、事前の計画精度が求められます。



まとめ

EPCは、設計・調達・建設を一括で担う契約方式として不動産開発において活用されており、プロジェクトの効率化とリスク管理を支える重要な手法です。今後も、複雑化する不動産プロジェクトの推進において、その役割はさらに拡大していくと見込まれます。

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