不動産業界におけるDINKSとは?

不動産業界の分野におけるDINKS(でぃんくす、Double Income No Kids、Double revenu sans enfants)とは、共働きで子どもを持たない夫婦のライフスタイルを指す言葉で、高い世帯収入と自由度の高い消費行動を背景に、不動産市場において独自の需要層として注目される存在です。DINKSは都市型マンションやコンパクト住宅、共用設備の充実した物件へのニーズが高く、デザイン性や立地利便性を重視する傾向があります。不動産開発や販売戦略では、この層の価値観に応じた物件プランが増加しており、今後もマーケティング上重要なターゲット層とされています。



DINKSの定義と基本的な使われ方

DINKS(Double Income No Kids)とは、結婚しているかまたはパートナー関係にある2人がともに就労し、子どもを持たない生活を選択している世帯を指す社会的なカテゴリーです。不動産業界においては、高収入で自由に使える可処分所得が多く、都市部での快適な暮らしを重視する購買層として位置づけられています。

DINKS向け物件としては、交通利便性に優れた都心型マンション、1LDK~2LDK程度の間取り、セキュリティ設備や宅配ボックスなどの利便設備が整った物件が人気です。また、共働きによる時間制約の観点から、家事効率を意識した間取りや、駅近・商業施設隣接といった立地条件が重視されます。



語源と歴史的背景

Double Income No Kidsという言葉は、1980年代のアメリカで生まれた社会用語で、ライフスタイルの多様化を背景にした消費傾向の分析から登場しました。特に都市部においては、教育費や育児にかかる負担を持たない分、旅行・趣味・住宅といった自己投資への支出が活発であるとされ、マーケティング分野で注目されました。

日本では1990年代以降、女性の社会進出や晩婚化の進行とともに、DINKS層の割合が増加しました。2000年代以降は、「子どもを持たない」という選択が価値観のひとつとして社会的に認知されるようになり、不動産・住宅業界においてもこの層を明確にターゲットとする商品設計や広告展開が行われるようになりました。



実務におけるDINKSの意味と活用事例

DINKS層は、他の世帯構成に比べて住まいに対する要求が個別化・明確化されており、ライフスタイル重視型の物件や、生活の質を高める要素への支出に積極的です。たとえば、天井高が高く開放感のあるリビング、ワークスペースを兼ねた書斎スペース、ペット可物件、ホテルライクな内装などが人気です。

また、二人分の収入を背景にした住宅ローンの組成が可能なため、価格帯の高い物件やハイグレード設備を備えた住宅を選ぶ傾向があります。不動産ディベロッパーは、DINKS層に向けた専用プラン(家具付き販売、IoT導入、共用ラウンジ付きなど)を開発し、利便性と洗練された居住空間の提供に注力しています。

さらに、郊外型開発においても、ワーケーションや二拠点生活を視野に入れたDINKS層向けのリゾート物件などが増加しており、この層の選択肢は都市型に限らず多様化しています。マンション販売現場では、DINKS専用フロアや共用設備を差別化ポイントとする事例も増えています。



まとめ

DINKS(Double Income No Kids)は、高収入かつ自由なライフスタイルを持つ都市型世帯として、不動産業界で非常に重要なターゲットです。彼らの価値観に合った住空間の提供は、物件の競争力向上と市場の細分化に対応するうえで不可欠であり、今後もDINKS層を意識した開発・販売戦略は一層進化していくでしょう。

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