不動産業界におけるO&Mとは?

不動産業界の分野におけるO&M(おーあんどえむ、Operation and Maintenance、Exploitation et maintenance)とは、建物や施設の運用(運営)と維持管理を体系的に行う業務全般を指す用語です。設備の稼働状況を最適に保ち、建物の寿命と価値を維持するための重要な業務であり、ビル管理・PM(プロパティマネジメント)・FM(ファシリティマネジメント)などと密接に関連しています。不動産経営においては、資産価値と収益性を左右する中核的な概念です。



O&Mの定義と不動産実務における役割

O&M(Operation and Maintenance)とは、建物やインフラ施設の日常的な運転管理(Operation)保守・修繕・点検等の維持管理(Maintenance)を包括的に行う活動を意味します。不動産業界では、ビルやマンション、商業施設などの建築物を対象とし、長期にわたる資産運用の基盤業務とされています。

Operationには、設備機器の起動・停止・監視・エネルギー管理などが含まれ、Maintenanceには、法定点検・清掃・設備保全・故障対応などが含まれます。これらを計画的かつ継続的に実施することが、施設の安全性・快適性・機能性を保つ鍵となります。

O&Mは、利用者満足度の向上だけでなく、建物の長寿命化や再投資コストの抑制にも寄与し、不動産経営の安定性に不可欠です。



O&Mという用語の由来と発展の経緯

O&Mは、インフラ業界や製造業などで古くから使用されてきた概念で、もともとは電力施設や上下水道施設、工場などの設備稼働を支える技術的な管理用語として広がりました。

1980年代以降、不動産業界においても、大型複合施設や高層建築の普及とともに、設備管理の重要性が増し、O&Mという言葉が使われるようになりました。とりわけ2000年代以降、ファシリティマネジメント(FM)やプロパティマネジメント(PM)との連携が求められる中で、O&Mの概念は一層体系化され、建物のライフサイクルマネジメントの一環として扱われるようになっています。

現在では、エネルギー効率化やESG経営、SDGsの観点からも、持続可能な不動産経営の中核的概念としてO&Mが注目を集めています。



現在の不動産実務におけるO&Mの活用と留意点

O&M(Operation and Maintenance)は、不動産の運用効率・維持管理コスト・快適性の向上を総合的に支える業務であり、アウトソーシングやITシステムの活用も進んでいます。

具体的には、中央監視システムによる自動運転、定期点検スケジュールの自動管理、IoTセンサーを活用した異常検知など、スマートビルディングの運用技術がO&Mに組み込まれています。また、維持管理の記録は、建物の資産評価や売却時の査定資料としても有効に機能します。

一方で、O&Mの品質は人的スキル・予算確保・現場連携に大きく依存するため、外部委託先の選定や長期修繕計画との整合性を重視する必要があります。過剰なコスト削減や定型化が行きすぎると、安全性や設備寿命の低下につながるリスクもあるため、専門的な知見とバランス感覚が求められます。



まとめ

O&M(Operation and Maintenance)とは、建物や施設を効率的かつ安全に運用・維持するための総合管理業務であり、不動産の価値維持と運用最適化において中核的な役割を担います。

長期的な視野に立ったO&Mの実践は、資産価値の最大化と持続可能な都市づくりを支える不可欠な手段として、今後ますます重視される領域です。

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