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舞台・演劇におけるアウターモノローグとは?

舞台・演劇の分野におけるアウターモノローグ(あうたーものろーぐ、Outer Monologue、Monologue extérieur)は、演劇において登場人物が内面的な思考や感情を観客に向けて語る手法の一つです。通常のモノローグ(独白)とは異なり、アウターモノローグは登場人物が自らの心情を直接的に表現するのではなく、他の登場人物との関係や舞台上の状況を意識しながら、観客に向けた発言として構成されます。この技法は、演出の意図を明確に伝え、登場人物の内面と外的要因の相互作用を強調するために用いられます。



アウターモノローグの歴史と発展

アウターモノローグは、古代ギリシャ演劇に起源を持つと考えられています。ギリシャ悲劇において、登場人物はしばしば神々や運命に対して語りかける形で独白を行い、それが観客への説明や感情表現の役割を果たしていました。

ルネサンス期のシェイクスピア劇では、モノローグの技法が発展し、特に「アサイド」(観客に向けての小声の発言)と呼ばれる手法が確立されました。アウターモノローグもこの時期に重要な演出技法として発展し、キャラクターの心理描写や物語の進行に役立てられるようになりました。

近代演劇においては、リアリズムの流れの中で、アウターモノローグの手法はより洗練され、演劇的な効果を高めるために活用されるようになりました。例えば、ブレヒトの叙述的演劇では、登場人物がしばしば観客に向かって語ることで、物語の展開を俯瞰的に捉えさせる役割を果たしています。



アウターモノローグの技法と特徴

アウターモノローグにはいくつかの特徴的な技法があります。

まず、視線とジェスチャーの活用です。登場人物が観客に向かって語る場合、その視線の動きや身体表現が非常に重要になります。演技の中で、観客に対する意識を保ちつつ、同時に舞台上の他のキャラクターとの関係を維持する必要があります。

次に、言葉の選択です。アウターモノローグでは、観客が物語を理解しやすいように、直接的な表現や比喩を効果的に用いることが求められます。ときには、韻やリズムを活かした台詞回しが使われることもあります。

さらに、演出と照明の工夫も重要です。アウターモノローグのシーンでは、通常の舞台照明とは異なり、スポットライトを使って話者を強調したり、背景の明暗を調整して感情的な効果を高めることがあります。



現代演劇におけるアウターモノローグの活用

現代の演劇においても、アウターモノローグはさまざまな形で活用されています。

例えば、一人芝居(ソロパフォーマンス)では、登場人物が自らの経験や思考を観客に直接語る形で物語を進めることが一般的です。こうした作品では、アウターモノローグがナラティブの中心となり、観客を引き込む要素として機能します。

また、映画やドラマの脚本においても、アウターモノローグの技法が応用されています。例えば、キャラクターがカメラに向かって語りかける演出(「ブレイク・ザ・フォース・ウォール」と呼ばれる手法)は、アウターモノローグの現代的な表現の一つといえます。

さらに、近年ではインタラクティブシアターの分野でも、観客参加型の演劇においてアウターモノローグが活用されることが増えています。観客が役者と対話する形で物語が展開する場合、アウターモノローグはストーリーテリングの重要な要素となります。



まとめ

舞台・演劇の分野において、アウターモノローグは、登場人物が観客に向けて語ることで、物語の背景や感情を伝える重要な技法です。

この手法は古代ギリシャ劇に起源を持ち、シェイクスピア演劇や近代リアリズム演劇を経て、現代の舞台芸術においても活用されています。特に、視線やジェスチャー、言葉の選択、照明などの演出技法と組み合わせることで、観客に強い印象を与えることができます。

今後も、アウターモノローグは演劇や映像作品の中で進化し続け、新たな表現の可能性を広げていくでしょう。


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