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舞台・演劇におけるアウトオブキャラクターとは?

舞台・演劇の分野におけるアウトオブキャラクター(あうとおぶきゃらくたー、Out of Character、Hors du personnage)は、俳優が演じるキャラクターの人格や設定から逸脱した言動を取ることを指します。この概念は、舞台上の演技だけでなく、即興劇やリハーサルの場面、さらには役者のメタ的な発言としても用いられます。



アウトオブキャラクターの歴史と発展

演劇においてキャラクターという概念が確立されたのは、古代ギリシャの悲劇や喜劇が発展した時代とされています。当時の演劇は仮面を用いた表現が主流であり、俳優は特定の役柄を演じることに徹していました。しかし、中世ヨーロッパの即興劇やルネサンス期の演劇では、俳優が観客と直接対話する要素が増え、キャラクターの枠を超えた表現が登場するようになりました。

20世紀に入ると、スタニスラフスキー・システムやメソッド演技など、役作りの技法が発展し、俳優が徹底的にキャラクターに没入することが求められるようになりました。その一方で、ブレヒトの異化効果やポストモダン演劇の影響により、意図的にキャラクターの枠を外れる演出が生まれ、アウトオブキャラクターの概念がより明確になっていきました。

アウトオブキャラクターの使われ方

アウトオブキャラクターは、舞台や演劇においてさまざまな目的で活用されます。以下はその主な用例です。

1. 即興劇における逸脱
即興劇では、俳優がキャラクターの枠を超えてメタ的な発言をすることがあります。例えば、演じている役柄とは関係のない現実の出来事に言及することで、観客に意図的な笑いを誘う場合があります。

2. ブレヒト的演出
ブレヒト演劇では、観客が物語に没入しすぎることを防ぐため、俳優がキャラクターの役割を離れて説明を加える手法が用いられます。これにより、観客に批判的な視点を持たせる効果が期待されます。

3. リハーサルや稽古での発言
俳優が演技の途中で「このセリフは本当にこのキャラクターに合っているだろうか?」といった疑問を発することもアウトオブキャラクターの一例です。こうした発言は、演技の質を向上させるために重要な役割を果たします。

アウトオブキャラクターの課題と今後の展望

アウトオブキャラクターの概念は、演劇の表現を豊かにする一方で、使い方によっては作品の一貫性を損なうリスクもあります。特に、シリアスな舞台作品においては、俳優が不適切にキャラクターを逸脱すると、観客の没入感が損なわれる可能性があります。

しかし、近年の舞台演劇では、メタフィクションや第四の壁を意図的に破る演出が増えており、アウトオブキャラクターの手法も新たな形で活用されています。特に、観客とのインタラクションを重視した演劇では、役者がキャラクターを離れて観客に語りかけることで、演劇の枠を超えた体験を提供することが可能です。

まとめ

アウトオブキャラクターは、演劇において俳優が役柄の枠を超えて発言・行動することを指します。この手法は即興劇、ブレヒト演劇、メタ的演出などで活用され、観客の意識を喚起する重要な役割を果たします。

適切に用いれば、演劇の幅を広げ、観客との新たな関係を築くことができますが、過度に使用すると作品の一貫性を損なうリスクもあります。今後の舞台演劇において、アウトオブキャラクターの活用はさらに多様化し、新たな表現の可能性を広げていくでしょう。


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