【アクターとは？】ビジプリ舞台・演劇用語辞典

舞台・演劇におけるアクターとは？

舞台・演劇の分野におけるアクター（あくたー、Actor、Acteur）は、舞台上で役を演じる俳優を指す用語です。演劇におけるアクターの役割は、単に台詞を語ることにとどまらず、身体表現、感情表現、声の使い方などを駆使しながら、観客に物語を伝えることにあります。

アクターは、演出家の指導のもと、戯曲の登場人物を解釈し、そのキャラクターの内面や心理を表現します。また、演劇のスタイルやジャンルによって求められる技術が異なり、リアリズム演技を重視する作品では、自然な感情表現が求められる一方、身体性を強調するパフォーマンス系の舞台では、ダンスやアクロバットの要素が加わることもあります。

また、映画やテレビドラマの俳優（アクター）と異なり、舞台俳優はライブパフォーマンスであるがゆえに、観客の反応を直接受け取りながら演技を行うことが求められます。このため、即興的な対応力や、演出の意図を深く理解する読解力が必要とされます。

さらに、現代ではインタラクティブシアターやマルチメディア演劇の発展により、アクターの役割はより広範になり、デジタル技術や身体拡張的な演技も取り入れられるようになっています。このように、アクターは、舞台芸術において観客と物語をつなぐ中心的な存在として重要な役割を果たします。

アクターの歴史と発展

アクターという概念は、演劇の歴史とともに発展してきました。その起源は、古代ギリシャの演劇にまで遡ることができます。紀元前6世紀頃、ギリシャの詩人テスピスが、合唱隊の一員として演じるだけでなく、独立した登場人物として演技を行ったことが、世界最初の俳優とされています。

古代ギリシャ演劇では、俳優は仮面をつけ、大きなジェスチャーを用いることで、遠くの観客にも感情を伝える工夫がされていました。ローマ時代になると、演技の技巧が発展し、喜劇や悲劇の形式がより洗練されるようになりました。

中世ヨーロッパでは、宗教劇が盛んになり、教会や広場で聖書の物語を演じる形で演劇が発展しました。この時代、俳優は即興演技や身体表現を駆使し、観客の関心を引きつける工夫をしていました。

ルネサンス期には、イタリアのコメディア・デラルテが登場し、即興劇のスタイルが確立されました。この頃には、プロフェッショナルな俳優集団が登場し、各地を巡業することで演劇文化が広がっていきました。また、イギリスではウィリアム・シェイクスピアの劇団「宮内大臣一座」が活動し、演劇の職業化が進みました。

19世紀以降、スタニスラフスキーによる「心理的リアリズム」の演技手法が確立され、俳優の演技において内面の表現が重視されるようになりました。これにより、アクターの役割は、単なる外面的な動作から、キャラクターの心理を深く掘り下げるものへと変化しました。