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舞台・演劇におけるアナウンスブースとは?

舞台・演劇の分野におけるアナウンスブース(あなうんすぶーす、Announcement Booth、Cabine d’annonce)は、公演中や開演前後に観客への案内放送を行うために設けられた専用の小部屋またはスペースを指します。通常、劇場の客席後方や、音響ブースと隣接した場所に配置されており、公演の進行をサポートする音声演出・案内の中枢として機能します。

英語では「Announcement Booth」や「PA Booth(Public Address Booth)」と呼ばれ、フランス語では「Cabine d’annonce」や「Poste de régie vocale」などと表現されます。

アナウンスブースでは、係員やナレーターがマイクを使って「間もなく開演いたします」「携帯電話の電源はお切りください」といった公演中の観客マナーを促すアナウンスや、非常時の案内放送などを担当します。また、演出意図に応じて劇中に組み込まれた“演出アナウンス”を行うケースもあります。

本記事では、アナウンスブースの構造、機能、使用例、さらには近年の変化や将来の展望について詳しく解説します。



アナウンスブースの基本構造と設置位置

アナウンスブースは、劇場の音響設備の一部として、専用のマイク・スピーカー制御装置・モニター・録音設備などを備えた空間です。外部の雑音を遮断するため、防音設計が施されていることが多く、音声のクリアさと安定した放送品質が求められます。

■ 一般的な設置場所

  • 客席後方の壁面(プロセニアム劇場)
  • 調整室(音響ブースや照明ブースと併設)
  • 小劇場では受付横や控室内に簡易設置されることも

特に大規模な劇場では、本番中の音響オペレーションとは別系統として、緊急放送に備えた設備が独立して設けられており、アナウンスブースからのみ操作可能なシステムも存在します。



主な機能と運用内容

アナウンスブースの機能は、大きく分けて次の3つに分類されます。


■ 1. 開演・終演の案内放送

来場者に対して、以下のような基本的な案内や注意喚起を放送します:

  • 「開演〇分前です」
  • 「会場内での撮影・録音はご遠慮ください」
  • 「上演中は携帯電話の電源をお切りください」

■ 2. 劇中の演出アナウンス

物語上、ナレーションや車内放送、館内放送などの形式であらかじめ仕込まれた音声演出を行うことがあります。例:

  • 舞台上での空港・病院・学校などの場面転換
  • 架空の放送局やDJシーン
  • 登場人物の“声だけ”の出演

■ 3. 非常放送・緊急時の対応

地震・火災・停電といった非常時に、観客の避難誘導や安全確保のためのアナウンスを行う機能も担っています。これは劇場の防災システムと連携しており、アナウンスブースが緊急対応の指令拠点になることもあります。



近年の変化と今後の展望

現代の劇場運営において、アナウンスブースはテクノロジーの進化とともに多機能化が進んでいます。

変化・進化内容メリット
自動化されたアナウンス 録音された音声の自動再生 人的ミスを防ぎ、一定の品質を維持
マルチリンガル対応 英語・中国語などの多言語音声を導入 外国人観客への配慮、国際化対応
演出用ボイスアクターの活用 プロ声優による収録アナウンス 演出の世界観強化・印象づけ

■ デジタル音響設備との連動

近年では、デジタルサウンドシステムと統合された「トークバック(通話)機能」や「アナウンススケジューラー」なども活用されており、公演運営の効率化・安全性の強化に貢献しています。

■ 将来的には…

将来的にはAIによるリアルタイム翻訳・放送や、バリアフリー対応として視覚的アナウンス(字幕・光による案内)との連動も広がっていくと考えられます。



まとめ

アナウンスブースとは、舞台・演劇における観客案内・演出補助・安全対策の中核を担う、音声放送専用の設備空間です。

公演の円滑な進行と、観客とのコミュニケーションを支える重要な役割を果たしており、目立たないながらも“舞台の裏方”として欠かせない存在となっています。

演出の一部として使われることも増えており、今後はよりクリエイティブかつ高機能な“舞台上の声”の発信拠点として、その重要性はさらに高まっていくでしょう。


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