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舞台・演劇におけるアナウンスライトとは?

舞台・演劇の分野におけるアナウンスライト(あなうんすらいと、Announce Light、Lumière d’annonce)は、開演前・終演後・幕間などにおいて、観客への案内や注意喚起を促す目的で設置される照明機器のことを指します。舞台照明の中でも、特に「演出」よりも「案内・誘導」の役割を重視した光源であり、劇場運営における安全性・利便性・観客体験の向上に貢献しています。

英語では「Announce Light」、または「Courtesy Light」「Information Light」と表現されることもあり、フランス語では「Lumière d’annonce」や「Éclairage d’accueil」と表されます。

アナウンスライトは、客席内に直接的なアナウンス放送を補完する目的で使われることが多く、光の色や点滅によって観客に非言語的な情報を伝えるという特性を持ちます。たとえば「まもなく開演です」という意味で光が変化したり、「携帯電話をお切りください」といった注意喚起を視覚的にサポートするなど、その用途は多岐にわたります。

本記事では、アナウンスライトの定義や特徴、具体的な設置方法、演劇現場での実例、さらには将来的な展望について詳しく解説いたします。



アナウンスライトの基本機能と種類

アナウンスライトは、舞台照明の中でも機能性を重視した補助的照明として設計されており、視覚的な案内を担います。基本的には演出照明とは独立したシステムとして動作しますが、場面やタイミングに応じて演出と連携させることもあります。

■ 主な機能と目的

機能説明観客への効果
開演前通知 点灯・点滅による「間もなく開演」表示 着席を促す/会話の自粛
注意喚起 音声案内と連動して光が変化 視覚と聴覚で意識を高める
非常時誘導 非常口方向のライトと連動 避難経路の視認性を高める
案内・演出の一部 演出上の「放送」シーンと光演出を同期 リアリティのある演出補強

このように、観客の意識や行動を穏やかにコントロールするというのが、アナウンスライトの大きな役割です。



設置場所とオペレーションの実際

アナウンスライトは、劇場の構造や演出方針に応じて柔軟に設置されます。舞台装置や照明プランの中で「目立たず効果的に機能すること」が求められるため、客席から直接視認できる場所にありながら、演出の妨げにならない配置が重要です。

■ 主な設置箇所

  • 舞台上部(プロセニアムアーチ近く)
  • 客席両側の壁面・柱
  • バルコニー席の欄干下部
  • 通路・非常口上部

■ 操作方法と連携

アナウンスライトは多くの場合、音響・照明卓からのDMX制御または自動タイマー制御により操作されます。劇場によっては、放送ブースと連動して案内音声に同期する仕組みも導入されており、観客の導線と快適性を高めるシステムが整備されています。

また、最近ではプログラム可能なRGB LEDを使用して、シーンや演目に合わせて光の色を変更する演出的な試みも行われています。



実例と今後の展望

現代劇場におけるアナウンスライトは、単なる「案内照明」にとどまらず、観客との静かな対話ツールとして進化を続けています。

■ 実際の使用例

  • 【例1】新国立劇場では、開演3分前に淡いオレンジのライトが点灯し、観客に静粛を促す
  • 【例2】小劇場の一部では、緑の点灯で「上演中でも途中入場可能」を視覚的に示す
  • 【例3】テーマパーク内の演劇施設では、アナウンスライトがショーの一部として組み込まれ、観客の没入感を高めている

■ 今後の展望

今後、スマートシアター化が進むことで、アナウンスライトも次のような機能を備えていくと予測されます:

  • 観客のスマホと連動した照明案内(静音・サイレント通知)
  • 障害者支援のための視覚インジケーター
  • ARやインタラクティブ照明による演出と案内の融合

このように、アナウンスライトは「安全と快適さを両立させる装置」として、今後も舞台演出と劇場運営の両面で重要な役割を果たしていくでしょう。



まとめ

アナウンスライトとは、観客への案内・注意喚起・雰囲気づくりを照明によってサポートする舞台設備のひとつであり、言葉を使わず観客に情報を伝える視覚的なコミュニケーションツールです。

観客にとって心地よく、安全で、演出の世界観を壊さない空間づくりの一環として、アナウンスライトの存在は今後ますます注目されることでしょう。


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