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演劇におけるバーレスクとは?

舞台・演劇におけるバーレスク(Burlesque)は、もともと19世紀のヨーロッパで発展した風刺的な演劇やパフォーマンスのスタイルであり、後にアメリカにおいて特に人気を集めました。英語表記では「Burlesque」と書かれ、フランス語表記でも同じく「Burlesque」と記されます。このスタイルは、滑稽さ、過剰な演技、そしてしばしば社会的な風刺を交えたエンターテイメントとして特徴付けられ、観客に笑いや驚きをもたらすことを目的としています。

舞台・演劇におけるバーレスクは、特にダンスや歌、コメディ要素が組み合わさったパフォーマンスでよく見られます。その特徴は、過度に誇張された演技や衣装、さらに風刺的な要素を取り入れたストーリーラインにあります。バーレスクは、元々は社会的な風刺やパロディーを目的とした演劇スタイルでしたが、時が経つにつれて、もっと派手でセクシーな要素を加えたパフォーマンスとしても発展しました。これにより、観客はユーモアと共に魅力的な視覚的なエンターテイメントを楽しむことができるようになりました。

バーレスクは、特にアメリカの都市文化において、20世紀初頭に舞台演劇としての地位を確立しました。グラマーやセクシーさを強調したステージパフォーマンスと、それに伴うユーモアや風刺が観客に強い印象を与え、次第に人気を博しました。このスタイルは、歌手やダンサー、コメディアンが一堂に会して演じる、見世物的でありながら洗練されたエンターテイメントとして発展していきました。



バーレスクの歴史と背景

バーレスクの起源は、19世紀のヨーロッパにさかのぼります。当初は、風刺的な演劇形式として発展し、政治や社会的な事象を笑い飛ばすことを目的としたショーでした。イギリスでは、特にヴィクトリア朝時代に流行し、演劇や音楽、ダンスなどの要素が交じり合った形式が確立されました。この時期、バーレスクは上流階級の社会風刺を通じて、観客に楽しさと共に風刺的なメッセージを伝える役割を果たしていました。

アメリカにおいてバーレスクが大きな人気を誇ったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてです。特にニューヨークやシカゴのヴァードヴィル劇場(vaudeville theaters)では、歌やダンス、コメディが取り入れられたショーとして人々に愛されました。アメリカのバーレスクは、ヨーロッパのそれとは異なり、セクシーで魅力的なダンスや衣装、パフォーマンスが特徴的であり、エンターテイメントとしての要素が強くなっていきました。

20世紀の中頃には、バーレスクは次第に観客層を拡大し、特に男性の観客に向けたセクシーなダンスや挑発的なパフォーマンスが中心になりました。これにより、バーレスクは単なる風刺的な演劇から、視覚的に刺激的なエンターテイメントに変化を遂げていきました。特に1940年代と1950年代には、舞台上での女性ダンサーによる華やかなパフォーマンスが、バーレスクを代表する要素となりました。



バーレスクの特徴とスタイル

バーレスクの最も特徴的な要素は、セクシーさや魅力を強調したパフォーマンスと、風刺的なユーモアやパロディーです。元々は、政治的な風刺を目的としていたバーレスクですが、次第にそれが視覚的に刺激的で華やかなショーへと変化していきました。舞台では、ダンサーが歌やダンスを交えながら、時には演技を通じて観客に笑いを提供します。

バーレスクでは、衣装やセットにも特徴があります。ダンサーたちはしばしば豪華で華やかな衣装を身にまとい、豪奢な舞台装置とともに演技を行います。これらの視覚的な要素は、観客を魅了し、ショーの楽しさや派手さを際立たせる重要な要素となっています。特に、ストリップダンスや挑発的なパフォーマンスは、バーレスクにおいて不可欠な部分です。

また、バーレスクは単なる舞台パフォーマンスにとどまらず、コメディや物語性を取り入れたショーであることが多いです。観客に対してユーモアや風刺を交えたエンターテイメントを提供することが、バーレスクの魅力の一つです。そのため、バーレスクのパフォーマンスは、視覚的な刺激だけでなく、観客を楽しませ、笑わせる要素を持っていることが特徴です。



現代のバーレスクとその影響

現代のバーレスクは、古典的なバーレスクのスタイルを受け継ぎながらも、現代の文化や価値観に合わせて進化しています。現代のバーレスクは、性別や身体に関する制約を超えて、パフォーマンスの多様性を強調しています。特に、女性だけでなく、男性やトランスジェンダーのパフォーマンスも受け入れられ、より包括的で自由な表現の場となっています。

また、現代のバーレスクは、よりアートとしての側面が強調されるようになり、アートパフォーマンスとして舞台での表現が進化しています。音楽、ダンス、ビジュアルアート、コメディが融合したショーとして、観客に一貫した体験を提供しています。

さらに、バーレスクは映画やテレビ、さらにはポップカルチャーにまで影響を与えています。例えば、映画『バーレスク』(2010年)では、バーレスクという舞台芸術が物語の中心となり、その魅力が広く紹介されました。これにより、バーレスクは再び注目を集め、現代のエンターテイメントシーンにおける重要なジャンルとして再定義されました。



まとめ

舞台・演劇におけるバーレスクは、風刺的な要素、セクシーなパフォーマンス、豪華な衣装、そしてユーモアを交えたエンターテイメントが特徴的な演劇スタイルです。その歴史的な背景には、19世紀のヨーロッパでの風刺演劇としての起源があり、アメリカで独自の進化を遂げました。現代のバーレスクは、多様性とアート性が強調され、視覚的にも刺激的で、観客を楽しませる重要な舞台芸術の一つとなっています。

バーレスクは、セクシーさや魅力的な要素を取り入れながらも、その根底にはユーモアや風刺的な要素があり、観客に強い印象を与えるエンターテイメントです。演技、音楽、ダンス、衣装、舞台装置など、すべての要素が調和して作り上げるショーは、舞台芸術として非常に魅力的で、観客にとって忘れられない体験を提供します。

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