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舞台・演劇におけるオペレッタとは?

美術の分野におけるオペレッタ(おぺれった、Operetta、Opérette)は、19世紀中頃にヨーロッパで誕生した音楽劇の一形式で、一般に「小歌劇」や「軽歌劇」とも呼ばれます。クラシック音楽の一分野であるオペラ(Opera)よりも軽快でユーモラスな内容を持ち、台詞と音楽、踊りを組み合わせた構成が特徴です。

オペラが壮大で重厚なドラマや歴史的題材を中心とするのに対し、オペレッタはより親しみやすく、観客との距離が近い「娯楽性の高い舞台芸術」として大衆に広まりました。19世紀後半のフランス・ウィーンを中心に流行し、ヨハン・シュトラウス2世やジャック・オッフェンバックなどの作曲家が名作を残しています。

英語では「Operetta」、仏語では「Opérette」と表記され、両語とも「小さなオペラ」という意味を持つラテン語の語源「opera」に指小辞「-etta」または「-ette」がついた形です。

今日では、舞台・演劇の文脈においてもオペレッタは重要な存在であり、ミュージカルや現代音楽劇への橋渡しとなったジャンルとして評価されています。本記事では、オペレッタの歴史的背景、特徴、代表作、そして現代における意義について詳しく解説いたします。



オペレッタの歴史と発展

オペレッタの起源は、19世紀中頃のフランスにまで遡ります。特に1850年代、作曲家ジャック・オッフェンバックがパリで台詞と歌を交えた短編音楽劇を上演したことがきっかけとされています。オッフェンバックの代表作『天国と地獄(Orphée aux enfers)』は、ギリシャ神話を風刺したコミカルな作品で、当時の観客に新鮮な驚きをもたらしました。

その後、オペレッタはオーストリア・ウィーンにおいても独自の進化を遂げ、ヨハン・シュトラウス2世の『こうもり(Die Fledermaus)』やフランツ・レハールの『メリー・ウィドウ(Die lustige Witwe)』などが生まれ、ウィーン・オペレッタとして一大ジャンルを築きました。

また、イギリスではギルバート&サリヴァンのコンビによる風刺的オペレッタが流行し、『ミカド』や『ペンザンスの海賊』などが誕生しました。これらは後のブロードウェイ・ミュージカルにも多大な影響を与えました。



構成・特徴と表現技法

オペレッタの最大の特徴は、「軽快な音楽」、「台詞と歌の融合」、「ユーモアや風刺を含んだストーリー」にあります。

一般的な構成は以下の通りです:

  • 序曲(Overture):劇中の主題旋律を先取りしたインストゥルメンタルパート。
  • アリア・アンサンブル:主役による独唱や複数人による合唱。
  • レチタティーヴォ:台詞に近い歌唱。多くのオペレッタではこれが台詞として語られる。
  • ダンスシーン:バレエや舞踏が含まれることも多い。

オペラに比べて台詞が多く、音楽的にも民謡や舞曲などが取り入れられるため、親しみやすく、観客との距離を縮める工夫がなされています。加えて、恋愛、誤解、変装、階級差といったコメディ要素がしばしば織り交ぜられ、観客の笑いや共感を誘います。

また、視覚的な豪華さもオペレッタの魅力であり、きらびやかな衣装や美術が舞台の華やかさを支えています。音楽的にもワルツ、ポルカ、マーチなどが頻繁に使われ、観客の耳に残りやすい旋律が特徴です。



現代における位置づけと文化的意義

現代において、オペレッタはミュージカルの源流ともされ、オペラとミュージカルの中間に位置する独自の芸術形式として認識されています。特に欧米の歌劇場では、レパートリーの一部として定期的に上演され続けています。

日本でも、20世紀初頭にヨーロッパから導入され、戦後には宝塚歌劇団や劇団四季などの公演でもその影響が見られました。また、音楽大学やオペラ研修所などでも、声楽教育の一環として取り上げられることが多く、発声法・演技・リズム感の習得に有効な素材とされています。

さらに、地域のアマチュア劇団や市民ミュージカル団体でも取り上げやすい演目として人気があり、そのエンターテインメント性と演出の柔軟性は、今なお広く活用されています。

技術面でも、字幕投影や映像演出などが導入され、現代の観客にもわかりやすく楽しめる形で再解釈されています。最近では、フェミニズムやジェンダーの視点から再構築された「ポスト・オペレッタ」的な試みも見られ、時代とともにその意義も拡張しています。



まとめ

オペレッタは、オペラの重厚さとミュージカルの親しみやすさの中間にある、独自の魅力をもつ舞台芸術です。

その軽妙な音楽、美しい舞台美術、ユーモラスな物語は、観客を魅了し、時代を超えて親しまれ続けています。歴史的には19世紀ヨーロッパの大衆娯楽として発展し、現代では教育的価値や文化的遺産として再評価されています。

演劇・音楽・舞踊を統合した総合芸術としての魅力は、今後も多くの人々に新たな解釈と感動をもたらしていくことでしょう。


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